「横浜という地方都市を扱っていますが、自分の住んでいる市や町なら、どの区が一緒に戦ったり、あるいはどういうところが戦場になるかと置き換えて読むこともできるかと思っています」
もともと横浜市育ち(保土ケ谷区)ながら中高大学と東京の学校に通っていた蜂須賀さん。
「地元はもちろん、自分の住む市を知らないことに気づいたのが書くきっかけです。自転車で市内を回ったり、各区の民話や歴史を調べるうちに宿場町だった区が持つ矜持や、泰然自若とした区など自分なりにイメージをふくらましながら擬人化していった感じです」
分区を重ねて “家族” の間柄になった4つの区の神々は、戦いを通じて夫婦の危機や子どもとの仲違いに直面するなど “内輪揉め” をひきおこしたりもする。