ところが中学、高校に進むと次第にフランスの教育のよいところが現れてくる。
「自分で考える子どもを育てる教育が中学、高校で重視されます。日本との大きな違いですね」
中学卒業試験の歴史の問題は全部、論述式だ。暗記だけでは合格点が取れない。日本の大学入試に相当する「バカロレア」(高校卒業=大学入学資格試験)では哲学する力が問われる。
「いくつか設問をメモしてきたんですが、哲学の試験では4時間かけて論述をします。例えば『芸術作品には必ず意味がなければならないか?』とか、『不可能を望むことは不条理であるか?』『自由とは何の障害もないということか?』『尊敬するためには愛さなければならないか?』などです」