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慣れたつもりが最も危険、仕事メールの基本を復習。

今や、毎日のように使う人も多いわりに、あやふやな面も多いビジネスメール。基本の書き方とマナーをおさらいしよう。

撮影・岩本慶三 文・嶌 陽子

ビジネスマナー・敬語講師 井上明美さん
ビジネスマナー・敬語講師 井上明美さん

「メールには、厳密なルールがあるようでないものです。大切なのは、相手への心配りではないでしょうか」
そう話す、ビジネスマナー・敬語講師の井上明美さん。メールを送る際にいつも念頭に置きたいのは、“受け取る相手が主役”ということだ。

「瞬時にやり取りできるのがメールの長所。とはいえ、早く返信がほしいからと、“大至急”などと書くのは、相手の都合を考えていない行為。言い回しには充分に気を使いたいものです」

一方ビジネスの現場では、メールならではのスピード感が必要とされる場面もあるだろう。何度もやり取りをしている相手には、最初の丁寧な文面よりも、簡潔な表現を使うほうが、かえって仕事が効率よく進み、相手との距離が縮まる場合もある。
「相手との関係や状況に合わせて表現を使い分ける。そうした判断力や語彙力を、日々磨いておきましょう」

メールの基本的な構成要素と書き方、使い方をおさらい。

【1】宛先のTo、Cc、Bccの違いを知る。

メインの宛先はToに。複数のアドレスを入れれば同時に送信できる。Ccは、「カーボン・コピー」の略で、Toに入れた宛先のほかに「参考までに知らせたい」相手に送る。通常、返信はToの相手のみでいいが、通信内容を知らせたい範囲がCcにも及ぶ場合は全返信を選択するといい。

To欄に相手の氏名が表示される場合、 取引先には敬称を、自社の人間には敬称なしで。
To欄に相手の氏名が表示される場合、 取引先には敬称を、自社の人間には敬称なしで。

Bccは「ブラインド・カーボン・コピー」の略。Bccに入力したメールアドレスは、ToやCcの相手先には表示されない。取引先にメールを送る際、上司にも報告がてら内容を知らせておきたいときなどに使う。また、お互いに面識がない複数の相手に、一斉送信する場合などにも用いる。

Bccに複数のアドレスを入れて一斉送信する場合、 本文の最初に一言断りを入れておくとよい。
Bccに複数のアドレスを入れて一斉送信する場合、 本文の最初に一言断りを入れておくとよい。

お互いに面識のない社外の複数の人にメールを送る際、ToやCcで送ると受信者同士に相手にアドレスが分かってしまう。特に大人数に送る場合は、信用を失うだけでなく、重大な個人情報漏洩になりかねない。また、取引先にお詫びのメールを送る際、相手とは面識がない上司のアドレスをCcに入れるのもNG。いくら上司への報告のつもりであったとしても、配慮にかける行為にとられ、相手に良い印象を与えない。こうした場合は、Bccに入れること。

【2】最初に目にする「件名」は簡潔・具体的に。

メールを受信した側が、まず目にするのが件名と差出人の欄。誰から、何の用件で送られたメールなのかがひと目で理解できると安心感があり、見落とす心配もない。「ありがとうございました」「ご連絡」などの漠然とした件名はなるべく避け、より具体的にするのがよい。ただし、あまり長すぎても確認しづらいので、簡潔にまとめるのも大切。

件名を具体的に記せば、相手も安心してメールを読める。
件名を具体的に記せば、相手も安心してメールを読める。

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