暮らしに役立つ、知恵がある。

 

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〈暮らしにとけ込む、骨董と古道具。vol.4〉骨董をどう生活で使うか──「ぴったりなのを思いつくとすごく楽しくなります」

大橋利枝子さんはご自身のブランド<fruits of life>を立ち上げる前は、ファッションだけでなく、インテリアと雑貨のスタイリストとして活躍されていました。若い頃からヨーロッパのアンティークに馴染んで、その後日本や韓国、中国などのアンティークにも関心を持つように。大橋さんらしい、センスのいいもの選びや暮らしに合わせた使い方を見せていただきました。

取材&撮影&文・二階堂千鶴子 撮影・大橋利枝子

大橋利枝子(おおはし・りえこ)さん デザイナー。雑誌や広告のスタイリストとして活動。2018年、衣服と暮らしまわりのものを扱うブランド<fruits of life>を立ち上げる。著書は『おしゃれって いいもの』(文化出版局)『FLWのソーイングとスタイル』など。 <p><a href="http://www.fruitsoflife.jp/">http://www.fruitsoflife.jp/</a></p>
大橋利枝子(おおはし・りえこ)さん デザイナー。雑誌や広告のスタイリストとして活動。2018年、衣服と暮らしまわりのものを扱うブランド<fruits of life>を立ち上げる。著書は『おしゃれって いいもの』(文化出版局)『FLWのソーイングとスタイル』など。

http://www.fruitsoflife.jp/

青山の骨董屋で買った李朝のソバン(お膳)。韓国李朝時代に、軽くて料理を運ぶお盆として、そのまま一人用の食卓として使われたソバン。以前からソバンが欲しくて探していたところ、この店のインスタグラムで見つけ、即購入した。ベッドサイドのテーブルとして使っている。これほど大きなサイズは珍しい。盤の直径50cm、高さ38cm
青山の骨董屋で買った李朝のソバン(お膳)。韓国李朝時代に、軽くて料理を運ぶお盆として、そのまま一人用の食卓として使われたソバン。以前からソバンが欲しくて探していたところ、この店のインスタグラムで見つけ、即購入した。ベッドサイドのテーブルとして使っている。これほど大きなサイズは珍しい。盤の直径50cm、高さ38cm

「私、これは何に使うのですか?とすぐ骨董屋さんに聞くタイプのお客です」と笑いながら、大橋利枝子さんは言う。この連載のvol.1でこれ何に使うのですか?とお客様に聞かれて、飾るだけではダメですかと私が当惑する話を書いたのだけれど、それを読んだとのこと。

大橋さんはデザイナーになる前はファッションだけではなくインテリアや雑貨のスタイリストとして活躍。若い頃からパリのクリニャンクールやヴァンヴの骨董市でフランスの古いものに親しんだ。そのうち、日本や韓国、中国の古いものも気になって、東京の東郷神社や富岡八幡宮の骨董市、京都の平安蚤の市、東寺弘法市に通うようになった。

「気になった物でも使い方がわからないものは買いません」

コレクターではないので、高価なものより手頃なものがいい。オブジェとして飾るのではなく、現実的に活かせるものでないと買う気にならないという。だから、骨董屋さんにはどう使うのか聞いて、これは自分の暮らしの中で何に向いているのか、どう活かせるのかを考えてから判断する。

「自分の生活に合った使い方を思いついて、試してみてぴったりきたらすごく楽しくなりますね」

それこそ、暮らしにとけ込む骨董。その嬉しさ、にんまりする感じ、よくわかります。

アンティークイベントの目白コレクションで見つけた銅の落とし。実際に骨董屋でも木箱の中でこの落としに花を生けていたという。銅製だから安定感があり重宝している。漆塗りの竹製の籠に合わせて
アンティークイベントの目白コレクションで見つけた銅の落とし。実際に骨董屋でも木箱の中でこの落としに花を生けていたという。銅製だから安定感があり重宝している。漆塗りの竹製の籠に合わせて
代官山のインテリアセレクトショップで購入した李朝のソバンに、友人が台湾で買ってプレゼントしてくれた古い茶器。ソバンの大きさが中国茶をいれるときのお盆代わりにいい。高額だったが、気に入ったものには韓国に行ったとしてもなかなか出会うことはないだろうと、奮発して日本で購入
代官山のインテリアセレクトショップで購入した李朝のソバンに、友人が台湾で買ってプレゼントしてくれた古い茶器。ソバンの大きさが中国茶をいれるときのお盆代わりにいい。高額だったが、気に入ったものには韓国に行ったとしてもなかなか出会うことはないだろうと、奮発して日本で購入
古唐津の陶片をお香立てに。陶片は小皿として使われることが多いが、これはサイズが小さく、箸置きにするには大きい。カトラリーレストの方がいいかと思い、ナイフとフォークを置いてみたもののなんかしっくりこない。そこでお香立てを思いついたという。うまい具合に高台のところの陶片で安定感もある
古唐津の陶片をお香立てに。陶片は小皿として使われることが多いが、これはサイズが小さく、箸置きにするには大きい。カトラリーレストの方がいいかと思い、ナイフとフォークを置いてみたもののなんかしっくりこない。そこでお香立てを思いついたという。うまい具合に高台のところの陶片で安定感もある
ちょうど伝票が見やすいサイズの木箱。素材感のある古いものが好きで、木箱や竹籠に惹かれる
ちょうど伝票が見やすいサイズの木箱。素材感のある古いものが好きで、木箱や竹籠に惹かれる
工芸作家の作品だが、新しいものではなく作家名も不明。一本の竹で編んだモダンな形が気に入ったという。棚に置いて落としを入れて花を生けるのもいいが、こうやって壁に飾ると表情が変わり、照明によって壁に映った影も趣がある
工芸作家の作品だが、新しいものではなく作家名も不明。一本の竹で編んだモダンな形が気に入ったという。棚に置いて落としを入れて花を生けるのもいいが、こうやって壁に飾ると表情が変わり、照明によって壁に映った影も趣がある
博多のインテリアショップで買った、中国の古着。着るのではなく、これは壁に飾るため。まだ、飾り方は「わからんという感じ」と話す大橋さん。目指すはモダンでシックな空間にアジアンスタイルをアクセントにしたインテリア
博多のインテリアショップで買った、中国の古着。着るのではなく、これは壁に飾るため。まだ、飾り方は「わからんという感じ」と話す大橋さん。目指すはモダンでシックな空間にアジアンスタイルをアクセントにしたインテリア
京都の古道具屋で買った、八角小鉢。白磁でも有名な産地ではないようで、手頃な価格だった。見た瞬間、これでコーヒーが飲みたいと。白に映えそう
京都の古道具屋で買った、八角小鉢。白磁でも有名な産地ではないようで、手頃な価格だった。見た瞬間、これでコーヒーが飲みたいと。白に映えそう
花を生けるために花器は自然と増えて、普段は棚に並べ飾っている。茶色の銅の花瓶は素材感の変化をつけるために、代官山のインテリアショップで企画された骨董展で購入。口が小さくて丸みのある形も気に入っている
花を生けるために花器は自然と増えて、普段は棚に並べ飾っている。茶色の銅の花瓶は素材感の変化をつけるために、代官山のインテリアショップで企画された骨董展で購入。口が小さくて丸みのある形も気に入っている
この李朝白磁小徳利は「眺めていると心が静かに落ち着きます。この小さいサイズがいい」。花を生けてみようと何回か試してみたが、うまくいかない、何も生けない方がいい、花が邪魔になってしまう。「ほんと愛でるという感じですよね」
この李朝白磁小徳利は「眺めていると心が静かに落ち着きます。この小さいサイズがいい」。花を生けてみようと何回か試してみたが、うまくいかない、何も生けない方がいい、花が邪魔になってしまう。「ほんと愛でるという感じですよね」
李朝時代、副葬品として亡くなっても食事に困らないようにと食器のミニチュアを一緒に埋葬したという。明器(めいき)といわれ、白磁や青磁などがある。これは実際に埋葬されたものではなくレプリカだそう
李朝時代、副葬品として亡くなっても食事に困らないようにと食器のミニチュアを一緒に埋葬したという。明器(めいき)といわれ、白磁や青磁などがある。これは実際に埋葬されたものではなくレプリカだそう
北欧のテーブルと椅子。中目黒の北欧ヴィンテージ家具専門店で購入した。椅子はデンマークのデザイナー、ニールス・オットー・モラーのもの。有名なデザイナーとは知らず、シンプルで繊細なラインに一目惚れ、座面の生地はこの家具店で張り替えてもらったそう。同じく北欧のテーブルは、やはりきれいなラインが気に入って何十年も使っている
北欧のテーブルと椅子。中目黒の北欧ヴィンテージ家具専門店で購入した。椅子はデンマークのデザイナー、ニールス・オットー・モラーのもの。有名なデザイナーとは知らず、シンプルで繊細なラインに一目惚れ、座面の生地はこの家具店で張り替えてもらったそう。同じく北欧のテーブルは、やはりきれいなラインが気に入って何十年も使っている
フィンランド旅行で古いイッタラのグラスを購入。古いものは現行品よりも薄く、色合いもいい。日本酒を飲むにはちょうどいい大きさと思って。「何回もつがなくていいし、飲みすぎることもないサイズですね」
フィンランド旅行で古いイッタラのグラスを購入。古いものは現行品よりも薄く、色合いもいい。日本酒を飲むにはちょうどいい大きさと思って。「何回もつがなくていいし、飲みすぎることもないサイズですね」
鉄製の照明スタンド。いいものがなかなか見つからず、やっと見つけたこのシンプルなデザインに惹かれた。色が黒というのも気に入って購入。下向きに固定されているのでスポットライトとして使用。部屋に一箇所、灯りをつけると雰囲気が出るという
鉄製の照明スタンド。いいものがなかなか見つからず、やっと見つけたこのシンプルなデザインに惹かれた。色が黒というのも気に入って購入。下向きに固定されているのでスポットライトとして使用。部屋に一箇所、灯りをつけると雰囲気が出るという
パリのヴァンヴの蚤の市で買った業務用アンティーク皿。ランチにアトリエの近くのカフェで人気のキッシュとサラダをテイクアウトして盛り付けた
パリのヴァンヴの蚤の市で買った業務用アンティーク皿。ランチにアトリエの近くのカフェで人気のキッシュとサラダをテイクアウトして盛り付けた
シンプルなフランスの業務用アンティーク皿、特有の柔らかなクリーム色に桃と苺のタルトが美味しそう
シンプルなフランスの業務用アンティーク皿、特有の柔らかなクリーム色に桃と苺のタルトが美味しそう

古い道具や器はその時代の暮らしに合わせて作られているから、今の生活では本来の用途では使いにくい。たとえば、江戸時代の磁器は、長皿、向付、猪口など当時の料理に合わせた形や大きさで、今の食生活や普段のおかずではうまく使いこなせないことが多い。出番が少ないと思うと、買うのをためらってしまいます。

古いものを今の暮らしに合わせるには、ちょっとした工夫や遊び心が必要です。骨董用語でよく使われるのが「見立て」という言葉。他のものを本物になぞらえるという意味です。大橋利枝子さんのように料理に使う白磁の八角向付でコーヒーを飲むというのも一つの見立てではないでしょうか。古いものが今の暮らしの中でうまく使えるか、見立てられるか、ピタリとハマったらこれはたまらない喜びです。むずかしそうでもこれがまた面白いのです。

  • 二階堂千鶴子 さん (にかいどう・ちづこ)

    クロワッサン編集長を2004〜2013年までつとめ、現在は骨董店『アンティークワッツ?』を営む。

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