『低山遭難「まさかの遭難」から生きて帰った人たち』羽根田 治 著──低山で遭難した人々の体験とは
文字から栄養。ライター・瀧井朝世さんの、よりすぐり読書日記。
文・瀧井朝世
ここ1、2年悩まされているストレートネックによる首の痛みもだいぶ軽減したし、そろそろ山登りを再開しようかな、まずは簡単なところで、高尾山に行こうかな……と思っていた折に本書を見つけた。そりゃ、読むでしょう。
低山で遭難した人たちの体験を取材してまとめた本書。クマに遭遇したり、滑落したり、ハブに咬まれたり、転倒・骨折したりと、その内容はさまざま。日帰りのつもりで奥多摩の本仁田山(ほにたやま)に出かけ、5日間遭難した女性のエピソードでは、遭難中、そしてその後の心模様の変化が自分の想像を超えていて、胸に迫るものがあった。
帯には「日本一遭難の多い山は富士山でも剱岳でもなく高尾山」とある。まあ訪れる人数がケタ違いだし、私もサンダルや厚底靴で登っている若い人を見かけたことがあるしな……と思ったら、意外にも50歳以上の中高年の遭難が半数以上なのだとか。登山経験はそれぞれで、高尾山に限らず事故要因で多いのは、転倒だという。
まずは簡単なところで高尾山、と思った自分を反省した。どんな低山に登るにしろクマよけの鈴やヘッドライトをはじめ、準備を怠らないようにしよう。さて、この秋はどの山に行こうかな。
『クロワッサン』1175号より
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