小林 虎之介さんが語る、ドラマ『俺たちの箱根駅伝』──プレッシャーがないと物足りない。もっとヒリヒリしたいんです
撮影・天日恵美子 スタイリング・青木紀一郎 ヘア&メイク・堤 紗也香 文・望月リサ
一本の作品が人の人生を大きく変えることがある。連続テレビ小説『風、薫る』で、ヒロイン・りんの幼なじみの虎太郎を演じた小林虎之介さんも、映画に人生を変えられたひとり。
「高校生時代ずっと野球に打ち込んだ後は、大学受験に必死になって。でも大学に受かった途端、目標がなくなり何もせず、典型的なダメ人間でした」
そんな時に、父親に誘われて観た映画『ボヘミアン・ラプソディ』に衝撃を受け、映画を作る人になろうと決意するや否や大学をやめて上京した。
「フレディの紆余曲折あった人生を観た時に、自分も何かを必死に頑張ったと思える状態で死にたいなと思いました。本来、衝動的な性格ではないけれど、あの時の決断は早かったですね」
俳優を目指したのは、まずは撮影の現場の雰囲気を知って、自分に合う仕事を見つけようと思ったからだ。
「自分に演技の才能があるとは思えないし、俳優では食べていけないだろうけど、どこか見習いで使ってもらえたらと。でもありがたいことに、ドラマ『下剋上球児』の出演をきっかけにお仕事をいただけるようになりました」
いずれは諦めるつもりの俳優業だったが、今は、その面白さと難しさに夢中になっている真っ最中。
「ドラマ『宙わたる教室』(2024年 NHK)をやった時、この感覚で芝居ができたらと思えた瞬間がありました。その時は、ちょっと芝居がうまくなった気がしたのに、次の作品に入ったら、ゼロにリセットされて愕然。勉強なら、一度問題の解き方を覚えたらそこそこの点数は取れるのに、お芝居では一度80点取れても、次に15点を叩き出す可能性がある。それでもやったと思えた時の達成感はものすごく大きいです」
10月にスタートするドラマ『俺たちの箱根駅伝』では、物語のキーマンとなる青葉隼斗を演じることに。
「制作側の力の入りようがすごいぶん、プレッシャーも半端なくて……。クランクイン前はけっこう強気でいたつもりが、始まった途端に体調を崩すわ10円ハゲができるわで、地獄みたいな顔をしていたらしいです(苦笑)」
そう言いつつ、「もっと大きい作品で、責任のある役を演じたい」とも。
「失敗した時のダメージは、今以上に大きくなるんだと思うんです。でも、あの時の緊張感を超えてこないと物足りない。もっとヒリヒリしたいです」
『クロワッサン』1174号より
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