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安否確認、情報収集──緊急対応の現場で、スマホが“命綱”になる6つの知恵

災害時には、いつも以上にスマホが助けになる。連絡を取り合ったり、情報を得たり、あるいは自分の医療情報を控えたり。緊急時にスマホはどう使うべきか? ITジャーナリストの鈴木朋子さんが徹底検証。

撮影・北尾 渉 イラストレーション・寺山武士 構成&文・堀越和幸

いざという時に慌てないために、予習をしておきたい安否確認

充電されたスマホを駆使して、いかに災害から身を守るかの知恵を紹介。まずは安否確認。

「日常でよく使うLINEには、災害発生時に出る画面があるのでその存在を知っておきましょう。ボタン一つで、登録した相手のお互いの安否を確認することができるので、非常に有効かつ迅速です」と指摘するのは、ITジャーナリストの鈴木朋子さんだ。

NTT「災害用伝言ダイヤル(171)」も簡単で確実だ。

「171に電話をかければメッセージを録音することができ、家族は事前に決めておいた電話番号を入力するだけで内容を確認できます。文字で伝言を残す『web171』も便利。ほかには、『探す』アプリに家族をあらかじめ登録し、いざという時に居場所を共有するのも手です。その時になって焦らないために、ぜひ、事前に予習をしておきましょう」

災害時に自動的に表示されるLINEの安否確認。LINE友だちで安否を登録した人がここに表示される。自分が〈無事〉〈被害あり〉を登録すれば、友だち全員に公開される
災害時に自動的に表示されるLINEの安否確認。LINE友だちで安否を登録した人がここに表示される。自分が〈無事〉〈被害あり〉を登録すれば、友だち全員に公開される
NTTの「災害用伝言板(web171)」の画面。アクセスしたら電話番号を入力。〈登録〉ボタンで安否のメッセージを残し、〈確認〉ボタンで相手の伝言を確認できる
NTTの「災害用伝言板(web171)」の画面。アクセスしたら電話番号を入力。〈登録〉ボタンで安否のメッセージを残し、〈確認〉ボタンで相手の伝言を確認できる
安否確認、情報収集──緊急対応の現場で、スマホが“命綱”になる6つの知恵
iPhoneの場合は「探す」アプリで〈人を探す〉へ。使用にはお互いの位置共有の許可が条件になる。An…
iPhoneの場合は「探す」アプリで〈人を探す〉へ。使用にはお互いの位置共有の許可が条件になる。Androidの場合は「Googleマップ」から〈現在地の共有〉の方法が一般的

確実で早い情報収集の方法は? プロが推す、この3つのアプリ

有事の際は災害情報をスマホから得る作業は必須だ。さまざまな防災アプリがある中で、鈴木さんが評価する3つとその理由を聞いた。まずは「Yahoo!防災速報」から。

「地震や豪雨などの情報を3エリアまで地点登録して得られるところがありがたい。例えば自分の家、実家、職場などを選べば、離れていてもオンタイムで状況がつかめます」

一方、「NHK ONE ニュース・防災」は正確なニュースに定評がある。

「ライブ映像などが確認できるので、事態をより正確に把握できます。人間は、様子が見えないことで強い不安を煽られてしまうので」

そして最近、防災の専門家に注目度の高い「特務機関NERV防災」にはこんな評価がされた。

「情報がとにかく速い。というのは気象庁や国交省などと連携して一次データを直接受け取っているため。地震や津波などの速報をリアルタイムで知ることができます」

アプリをダウンロードして、正しい情報を得る態勢を整えておきたい。

気象や災害情報、避難情報などを、アプリを開かなくともプッシュ通知で素早く教えてくれる防災アプリ。自宅…
気象や災害情報、避難情報などを、アプリを開かなくともプッシュ通知で素早く教えてくれる防災アプリ。自宅や実家など最大3地点まで登録できるのが最大の強み。
災害情報に加えて、NHKニュースやライブ映像、あるいは雨雲の動きや河川の水位なども確認できる情報アプ…
災害情報に加えて、NHKニュースやライブ映像、あるいは雨雲の動きや河川の水位なども確認できる情報アプリ。災害時の状況を詳しく知りたい時などに頼りになる。
気象庁など公的機関の情報をもとに、地震や津波、台風、大雨などの災害情報を迅速に配信。シンプルで見やす…
気象庁など公的機関の情報をもとに、地震や津波、台風、大雨などの災害情報を迅速に配信。シンプルで見やすい画面が特徴で、雨雲の状況や台風の進路もひと目で確認できる。

災害時に無料で開放される、「00000JAPAN」を覚える

読み方はファイブゼロジャパン。電気通信事業者などによる緊急の無料Wi-Fiのことだ。

「大規模災害や電話回線がパンクして通信障害に陥った時、誰もが利用できるように開設されるWi-Fiサービスです。無料なのでパスワードも不要。緊急時にはこういうものもあることを知っておきましょう」

被災地でこれが開放されるとニュースなどでも取り上げられ、使える時には自分のスマホのWi-Fiの設定画面に「00000JAPAN」の文字が表示されるので、確認を。

救助者に知ってほしい情報を、事前にこの画面に準備しておく

スマホが“命綱”になってくれるのは通信の手段だけではない。仮に自分が負傷して倒れてしまった時にも、自分に代わって大切なデータを救助する側に伝えてくれる。

「そのためにもiPhoneなら『ヘルスケア』アプリの〈メディカルID〉、Androidなら『設定』アプリから〈緊急時情報〉に必要事項の登録を」

服薬の項目やアレルギーの有無、そして病気の有無や緊急連絡先はピンチのあなたを救う鍵となる。

「ロックを解除しないでも第三者がアクセスできる唯一の画面なので、病院などに伝えてもらいたい医療情報などをここに残しておきましょう」

逆の立場でも同じこと。困っている被災者のスマホのパスコード画面を呼び出したら、迷わず「緊急」をタップしてサポートをしよう。

〈メディカルID〉の画面。救急時に自分の医療情報をロック画面から確認してもらえるiPhoneの標準機能。アプリの設定で事前に〈ロック中に表示〉をオンにしておく。これをしないと、救助者が確認できない
〈メディカルID〉の画面。救急時に自分の医療情報をロック画面から確認してもらえるiPhoneの標準機能。アプリの設定で事前に〈ロック中に表示〉をオンにしておく。これをしないと、救助者が確認できない

SNSなどで出回りがちなデマに騙されないための心構えとは?

有事の際には情報を精査することも大切だ。災害に対する恐怖や情報不足による不安から、悪質なデマやフェイクニュースが出回りやすい。

「デマはSNSから始まるという認識が一般的ですが、実際にはつい騙されてしまいそうになるのは知り合いのクチコミだったりします」

あの人が言ってるんだからきっと本当なのだろう。コロナ禍ではプロである鈴木さん自身も、知人に教えられた“トイレットペーパーが品切れになる”という言説を信じそうになってしまった。

「SNSもクチコミも、おや?と思ったら立ち止まってすぐに拡散しないこと。そして、テレビやラジオ、新聞などの複数のメディアや、信頼できる専門家が発信しているかなどを必ずチェックしてください。最近のフェイクニュースはAIも絡んで、すごく巧妙なので要注意です」

安否確認、情報収集──緊急対応の現場で、スマホが“命綱”になる6つの知恵

圏外でも通信衛星とつながる、スマホの最新事情を理解する

「圏外」になってしまったスマホの通信はもはや万事休すだろうか? 実はそんなことはなく、最近のスマホは、いざという時に衛星通信とつながるシステムになっている。

「スターリンクという衛星で、ドコモ、au、ソフトバンクの大手キャリアが連携して展開するサービスです。“電波が届かない”かつ“空が見える野外”という条件でのみ使用が可能になります。使える時にはiPhoneは“衛星”の文字が、Androidなら衛星のマークが画面の端に出ます」

災害時といわず、山登りなどで電波が届かない時にも使えるので、機会があったら試してみよう。さらにiPhoneが独自で行っている、衛星通信のサービスをもう一つ。

「衛星経由の緊急SOSです。110番や119番などの公的機関に緊急通報の電話をかけたりテキストが送れます。これも“圏外で空が見える野外”が条件になります」

使用時にはスマホを空に向けながら衛星のある位置を探すので、下写真の真ん中のような画面が出る。

「このサービスは〈設定〉から入ると、デモを試すことができるので、一度、練習をしてみましょう」

iPhoneの衛星経由の緊急SOS。デモを試すには次の手順で。〈設定〉→〈緊急SOS〉→〈衛星経由の緊急SOS〉。続く画面の指示に従ってモバイル通信を一時オフにすると、スマホと衛星がつながる
iPhoneの衛星経由の緊急SOS。デモを試すには次の手順で。〈設定〉→〈緊急SOS〉→〈衛星経由の緊急SOS〉。続く画面の指示に従ってモバイル通信を一時オフにすると、スマホと衛星がつながる
  • 鈴木朋子

    鈴木朋子 さん (すずき・ともこ)

    ITジャーナリスト

    安全なスマホ活用を指南する、スマホ安全アドバイザーとしても活動中。著書多数。近刊には『秒で役立つワザ満載 スマホ活用事典』がある。

『クロワッサン』1172号より

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