【ヨガのポーズ102】“集める” 酸っぱい顔のポーズ──Dr.高尾美穂のカラダとココロの整え方
顔にはたくさんの筋肉があります。動かして、リアルを思い出そう。──デジタルと切り離した暮らしは、もう成り立ちません。つき合い方を考えつつ、自分のリアルな感覚をどう保っていくか、それも大事な時代ですね。
撮影・森山祐子 イラストレーション・SHOKO TAKAHASHI 構成&文・越川典子
酸っぱい顔のポーズ
息を吐きながら、顔の筋肉をすべて中心に集めます(手のひらで押すように)。ぱっと手を離し、目や口を思いっきり開けて、深い呼吸をします。一日何回でも。顔のストレッチです。
電車の中では、スマホを見ていない人がいない時代。その恩恵は、私も大いに受けているし、ありがたいものです。でも一方で、AIでパーソナライズされた情報が次々と送られてくる環境は、デジタルの小さな箱のできごと。リアリティはありません。
眺めている人の顔を見ると、眼の焦点は1点に集中し、誰もが無表情で画面を眺めている──顔の筋肉を使わなくても、生きていけちゃうのだなと思います。だからこそ、人の顔って、こんなに筋肉があって、こんなに動かせるんだと気づいてほしいんです。
思いっきり顔をしかめて、そう、酸っぱい梅干しを口にしたみたいに。両手で頬も押さえてしまいます。そのあと、両手を離すタイミングで、目も口も思いっきり大きく開けてみましょう。
どうですか。顔を動かすと、感情も動いてきませんか。
AIの時代のあとには、超リアルが残る、と私は思っています。たとえば、誰かと議論をした記憶、家族と山に登ったその道のり、そのときに出会った人、交わした会話、カラダが感じた空気、ワクワクした感情、つらかった経験。それらの過程こそ、人にとって意味があるものではないでしょうか。
顔を思いっきり動かして、リアルな価値を思い出すきっかけになればいいな、と願いながら。
『クロワッサン』1171号より
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