みんな大好き! 氷菓の魅力(1)──菓子作家・土谷未央さん×エッセイスト・仁平 綾さん
撮影・衛藤キヨコ 文・嶌 陽子
「アイスは常に数種類を常備。一年中、毎日食べてます」
右:土谷未央(つちや・みお)さん 菓子作家。物語性のある菓子を作る〈cineca〉として活動。約1年に一度、期間限定で開く「あわいもん」店主。著書に『空気のお菓子』など。
「映画やドラマ観賞に必須な小道具。夏は朝ごはん代わりにすることも」
左:仁平 綾(にへい・あや)さん エッセイスト。ニューヨークに約9年暮らした後、現在は京都在住。執筆活動のほか、京都にてカフェ&グローサリー『ROBYN』も営む。
種類もますます増えて、アイスの世界は近年とてもにぎやか。話題の店に行くのもいいけれど、気軽さや自分好みにアレンジできるのは家ならでは。アイス愛の深い2人に、“家アイス”の楽しみ方を語ってもらいます。
土谷未央さん(以下、土谷) 私、夏だけじゃなくて一年中、毎日アイスを食べてます。一個丸ごとじゃなくて、少しずつですけど。常に最低3〜4種類は常備してますね。
仁平綾さん(以下、仁平) それはすごい。私はさすがに毎日は食べないですね。夏にアイスを朝ごはん代わりにすることはあるけど。
土谷 えっ、それもすごいですよ。
仁平 すごく暑くて食欲が湧かないっていう朝にアイスがあると助かるんです。朝から食べると気分も上がるし。あと、映画やドラマを観る時も、アイスは欠かせない小道具。なぜかおいしさも増すような気がして。
土谷 なるほど。私はランチの後か夜に食べることが多いかな。ちょっとした作業をしながら食べることも多いです。だから手を汚さずに済む一口アイスも好き。モロゾフの「グラス オ ショコラ」とか。ちなみに子どもの頃って何のアイスが好きでした?
仁平 雪印の「宝石箱」知ってます? 色がついた氷がちりばめられてるんですけど、可愛くて夢みたいだったな。
土谷 私はグリコの「アイスの実」かな。今もありますけど、昔はオレンジとかチョコとか、いろんな種類の味が一つの箱に入っていて。次に手に取るのはどれかなっていう楽しみもありました。
手軽に買える絶品アイス
井村屋
BOXオーガニックあずきバー
優しい甘さとあずきの風味が魅力
ロングセラー商品「あずきバー」のオーガニック版。1本60mlの小ぶりなサイズ。6本入 600円※編集部調べ(井村屋お客様相談ルーム TEL:0120-756-168)
森永製菓
板チョコアイス
薄い板チョコの中に口溶けのいいアイス
薄くてパキッとした板チョコと、なめらかなバニラアイスが好相性。後味もすっきり。70ml 216円※編集部調べ(森永製菓お客様相談室 TEL:0120-560-162)
クラシエ
ヨーロピアンワッフルサンド
クリスピー食感のワッフル生地を堪能
バニラアイスをチョコレートでコーティングし、ワッフル生地でサンド。サクサクの食感がたまらない。85ml 248円※編集部調べ(クラシエ TEL:0120-202903)
コンビニやスーパーはアイスの流行を映す鏡
仁平 ミニストップのソフトクリームも、小学生の頃に初めて食べて感動しました。父親が夕方ジョギングに行く時に買ってきてくれて、家族みんなで分け合って食べた思い出があって。
土谷 ソフトクリームって行楽地で食べるものっていうイメージだったのに、それが近所のコンビニで食べられるのが画期的でしたよね。
仁平 今もミニストップを見つけると、吸い寄せられるように入ってソフトクリームを買っちゃいます。ずっと変わらず販売し続けてくれてありがとう、ミニストップという気持ちです。
土谷 コンビニといえば、私は日頃からコンビニやスーパーでアイスのリサーチをするのが習慣になってます。コンビニは、アイスの“今”を反映する場所。チョコミントのアイスがたくさん並ぶ時もあれば、暑い時季だとレモンのアイスが出回ったり。実際の旬とは関係ない、メーカーの旬、巷の旬みたいなものをチェックするんです。スーパーだともう少し普遍的な、老若男女に人気があるものが揃っているので、どんなものがあるのかを確認してます。
仁平 最近のアイス界ってどんな傾向なんですか?
土谷 最近は人気のお菓子をアイス化するのが流行ってます。「チョコボール」とか「ブラックサンダー」とか。
仁平 土谷さんのおすすめもぜひ教えてください。
土谷 井村屋の「オーガニックあずきバー」はパッケージのかわいさに惹かれて手に取ったんですが、より品質にこだわる人向けなのかなと。優しい甘みで、小豆の風味もより感じられる気がします。元祖よりも少し小ぶりなので、食べ切りやすいのがうれしい。それからすごいと思うのは、森永製菓の「板チョコアイス」。それまでなかったものを一から作り上げた、その挑戦が素晴らしいなと思って。
仁平 中に入っているアイスの量が多すぎず、バランスがいいですよね。
土谷 薄い板チョコの中にアイスを閉じ込める発想が斬新。型や製造ラインも一から作り上げたはずです。デリケートな商品なので配送面でもリスクが高いのに、果敢に挑んでいるなあと。
仁平 配送のことまで想像してるなんてすごい(笑)。
土谷 クラシエの「ヨーロピアンワッフルサンド」は、大人気の「ヨーロピアンシュガーコーン」をアレンジしたものですが、アレンジというより全く別の新しい味。手を汚さずに食べられるので、ながら食べにもいいんです。
仁平 (一口食べてみて)ワッフルがサクサクですね。
土谷 シュガーコーンよりもワッフルが薄くてクリスピー。配送面で割れのリスクがあるはずですが、それをクリアして商品化できるのは企業努力の賜物。仁平さんはスーパーやコンビニではどんなアイスを買ってるんですか?
仁平 私はハーゲンダッツのバニラが好きなんです。ちゃんとバニラの味がして、間違いないアイス。それが比較的どこでも買えるのがいいなあと。
土谷 確かにハーゲンダッツはバニラの味がしっかりしますね。
仁平 それを自分好みにアレンジするのが好き。ぶぶあられをかけて香ばしくしたり、山椒香油をかけてピリッとした刺激を加えたり。そうやって味変するのが楽しいんです。白玉が大好きなので、手作りの白玉とあんこをトッピングして和のデザートにすることも。
土谷 おいしそう。私は時々バニラアイスに茶葉を混ぜ込んでいます。特にそば茶は香ばしさが出るので大好き。新茶の茶葉も柔らかいプチプチの食感が加わるのでおいしいです。
仁平 茶葉はアイスのためにわざわざ買うというより、もともと飲むために買ったものを使えば気軽ですよね。余っているものを使い切りたい時にもいいし。
バニラアイスをよりおいしく!
\土谷さんおすすめ/
2種のアイスを混ぜて撹拌、作りたてのおいしさに
2種類のバニラアイスをハンドミキサーでふんわりするまで撹拌。空気を含んで、まるで作りたてのようなフレッシュな味わいに。土谷さんのいち押しは上の2種類の組み合わせ。
\土谷さんおすすめ/
茶葉を混ぜ込んで風味と食感に変化を
アールグレイなどの紅茶のほか、新茶、そば茶など、好みの茶葉を混ぜ込むと豊かな風味に。プチプチ食感もアクセント。茶葉が大きめの場合は、ミキサーなどで粉状にしても。
\仁平さんおすすめ/
お茶漬けのお供や調味料をトッピング
王道のハーゲンダッツバニラをトッピングで味変して楽しむのが仁平さん流。ぶぶあられはカリカリの食感、山椒香油はピリッとした爽やかな味わいになり、大人のスイーツに。
土谷 もうひとつおすすめなのが、2種類のバニラアイスをハンドミキサーで撹拌すること。空気を含ませることで、作りたてのアイスが再現できます。いち押しの組み合わせは明治の「スーパーカップ」と森永乳業の「MOW」。バニラ感の強い「スーパーカップ」と、ミルク感の強い「MOW」、両方のいいところが融合した味わいになりますよ。
仁平 さっきいただいたんですが、ふんわりしておいしかった! そもそも冷凍庫から出したてのカップアイスって、カチコチになっていることが多いでしょう。私はいつも、少し柔らかくしてから食べるようにしてます。
土谷 私も冷凍庫から出して10分くらい置いてますね。冷たすぎたり硬すぎたりすると、味があまりしないこともあるので。トロンとするくらいまで待ってから食べています。
老舗の味から進化系まで、菓子店のアイスも見逃せない
近江屋洋菓子店
カップアイスクリーム
老舗菓子店の名品
バニラやラムレーズンのほか、りんごやイチジクなど旬の果物を使用した多彩なフレーバーがある。各200ml 454円。カップアイスクリーム4個、ソフトクリーム4本、キャンディ4本の詰め合わせのお取り寄せは5,357円。(近江屋洋菓子店 TEL:03-3251-1088)
SHUKA/種菓
種のジェラート
新ジャンルの植物性ジェラート
牛乳や生クリームを使わず、厳選された豆やナッツの旨味とコクを活かした植物性ジェラート。斗六豆バニラ、瑞穂大納言小豆、丹波黒豆、カシューナッツ、スーパーグリーンピスタチオ、カカオの6種。各90ml 6個入 5,000円(SHUKA/種菓 https://shuka-kyoto.jp)
仁平 菓子店のアイスもおいしいのがありますよね。
土谷 いくつか好きなのがあって、東京・神田の近江屋洋菓子店のカップアイスもそのひとつ。時々お取り寄せしています。昔ながらの、手作り感のあるシンプルで優しい味。お袋の味みたいな感じなんです。フルーツのアイスを作れるのも、新鮮なフルーツを扱っている近江屋洋菓子店ならではかと。毎日食べられるような、飽きのこないアイスです。仁平さんのおすすめは?
仁平 京都のSHUKAの「種のジェラート」は新感覚アイスです。アイスというよりナッツの冷菓という感じ。老舗の甘納豆専門店が新しく立ち上げたブランドで、それまで廃棄していた、豆の砂糖漬けの製造過程でできるシロップを活用しているそう。6種類の味があって、私が一番好きなのはカシューナッツ。カカオや大納言小豆などもおいしいですよ。
土谷 廃棄していたものも、アイスだったら活用できるというのが面白いですね。アイスって許容範囲が広い食べ物だなと思うんです。醤油とか味噌とか、一見合わなさそうなものでも不思議とおいしくなるし、前に知り合いが魚を使ったアイスを作ったという話を聞いたこともあります。低温で乳製品だから臭みを消してくれるそう。アイスっていろんな素材のいいところを引き出してくれるんじゃないかな。
仁平 そういえばニューヨークに住んでいた時、時々行っていたアイスクリーム屋さんに「味噌チェリー」っていう味があって、おいしかったな。
土谷 そういう、どんな味でも受け止めてくれる懐の深さみたいなところがアイスの魅力だなって思います。
仁平 私にとって、アイスは子ども時代の記憶とつながっているもの。サーティワンのアイスをおじいちゃんが仕事帰りに買ってきてくれたなあとか、そういう家族の時間や子どもの頃の気持ちとも結びついているんです。それらを含めてのおいしさなんですよね。
『クロワッサン』1169号より
広告