上は80代、下は20代。イラストレーター・ニャンパッチさんの年の差友達との友人関係
撮影・黒川ひろみ 文・黒澤 彩
年の差がある友達との関係って、どんな感じ? イラストレーターのニャンパッチこと手越洋子さんは、実際にひと回り以上離れた年上も年下も友人がいるという幅広い交友の持ち主。年の差付き合いのヒントを探るべく、友達と過ごす一日にお供させてもらった。
30歳近い年の差があっても自然な友人関係
「仲良くなれるかどうかって、年齢はあまり関係ない気がします。私は素敵な人、おもしろそうな人がいたら、友達になりたくてつい声をかけてしまうのですが、その“目利き”にはけっこう自信があるかも!」と手越さん。この日は、年上の友人の家を訪ねる約束があるという。
「いらっしゃい。楽しみにしてたのよ」と笑顔で出迎えてくれたのは石渡依子さん、84歳。55歳の手越さんとは実に30歳近い年の差がある。
石渡さんは、もともと手越さんのお母さんの中学時代からの親友なのだそう。当然、手越さんが幼い頃からの顔見知りでもある。
「母を介さずに会うようになったのは、だいぶ大人になってから。母が体調を崩してしまったことがあったのですが、その時に依子さんはご近所という縁もあって、私のバイト先のお店によく来てくれたんですよね。それで依子さんの家でご飯を食べたり、行き来することが増えました」(手越さん)
ずっと働いてきた石渡さんが仕事を辞め、時間ができたこともきっかけの一つ。会う約束はいつも多忙な手越さんの都合を優先している。とはいえ、絵手紙の教室をしたり、毎朝の太極拳や庭の手入れ、季節の手仕事などで石渡さんもなかなか忙しそう。かつて料理屋を営んでいただけあって、何をするにもテキパキとして若々しい。
「お互いに忙しいもの同士だから波長が合うのかも。年の差があっても対等に楽しく過ごせる間柄ですけど、私はやっぱりデジタルが苦手で。スマホで旅の手配をするときなんか、いつも洋子ちゃんに教わっています。その代わりといってはなんだけれど、料理や旬の野菜のことは私が教えてあげることが多いですね」(石渡さん)
実は、この取材を受けるに当たって、母と同い年の石渡さんを自分の友達として紹介していいものか、ちょっと逡巡があったという手越さん。石渡さんに確認して「もちろん!」と快諾してもらえたことがうれしかったそう。
20代の友人はママ友の娘。なんでも本音で話せる間柄
「年下のほうの友達が、ちょうど東京に来ています。みんなでお茶しましょう!」とのことで、今度は26歳年下の友人と待ち合わせ。29歳の金森日和さんは埼玉県在住だが、子どもの頃に暮らした東京の下町には今も友人が多く、都内に用事があるたびに手越さんともご飯を食べたり、泊めてもらったりしているという。
「初めて会ったのは、日和が4歳くらいのとき。うちの子と同じ幼稚園に通っていて、私が彼女のお母さんをナンパしたのがきっかけです」と、手越さんの“友達の目利き”を発揮したのがこのときだったと振り返る。
幼稚園のママ友グループにあまり関心がなかった当時の手越さんだが、クラスに1人だけ、とても素敵で、ちょっと浮いているママを見つけた。その人こそが金森さんのお母さん。直感は大当たりで、お互いの母娘はすっかり意気投合。金森さんたちが地方へ引っ越してからも交流は続き、やがて日和さんが単身で上京すると、手越さんと直接連絡を取り合う仲に。
「年上だからとか、もともと母の友達だからという遠慮はあまりなくて、洋子ちゃんにはなんでも話せます。昔からの私のことをよく知ってくれている古い友達という感じ。新しくできた同年代の友達だと、やっぱりちょっと取り繕ってしまうこともあるのですが、洋子ちゃんの前ではそんな必要はなくて、すごく楽なんです。私は子どものときから多言語での国際交流も経験していました。年の差が気にならないのは、そういう育った環境のおかげかもしれません」(金森さん)
最近は、手越さんが読んでおもしろかった本を金森さんに譲ることも。「日和の感想も聞きたいなと思って。このあいだも2冊あげました」と手越さん。「年齢差が気にならないと言ってくれてうれしいけど、私は多少、気をつけていることもあります。若い人に対して小言みたいなのを言わないようにしようだとか。あとは、相手を年齢や見た目で判断しないこと。私が人と付き合うときに大事にしているのは、そういう部分なのかなと思います」
年齢で人を区別せず、誰にでも裏表なく接することができる手越さんだからこその年の差交友。うらやましいほど楽しそう!
『クロワッサン』1166号より
広告