黄金の80代に向けて、70歳から機織り修行を始めた重松さんの働き方──いくつになっても私らしく稼ぐ
撮影・黒川ひろみ 文・長谷川未緒
中小企業診断士の仕事と並行して、黄金の80代に向けて、機織り修業をスタート
重松久惠(しげまつ・ひさえ)さん 70歳
重松久惠さんが中小企業診断士を志したのは、離婚がきっかけだった。
「夫婦でアパレル会社を経営していましたが、離婚とともに仕事を失いました。たまたま友人から経営に対するアドバイスを求められることが続き、こういう仕事が向いているかもしれないと考えるようになりました」
中小企業診断士の教科書を見てみると、法務における特許・商標業務など何年も実践でやってきたことが理論立てて解説してあった。これならできる、と専門学校へ通うことに。
「仕事の行き帰りに図書館に寄ったりして勉強しましたけれど、一次試験に通るまで3年かかり、二次試験には2度も落ちてしまいました。それで思い切って東洋大学大学院の中小企業診断士登録養成コースに入学。これを履修すると二次試験が免除され、コンサルタントとして実践的な学びを得られます。2年通い、資格と経営学修士を取得しました」
中小企業診断士とは企業の経営状況を見て助言や提案をする仕事。実務経験があることで仕事が相次いだ。この歳でのスタートながら、年齢が壁になるとは感じなかったという。
「特に繊維関連企業は専門知識があるので、ほかの診断士には負けない。経験って宝だな、と思いましたね」
新規事業の立ち上げや売り上げアップに貢献できると、ガッツポーズ。役に立てることが心の底からうれしいのだそう。修了した大学院から声がかかり講師もしていたが、その定年が70歳。今後について考えたとき、リタイアに向け縮小するより新しいことをはじめることにした。
「商品開発に携わる『D&DEPARTMENT』でアップサイクルの仕事をしているので、余った布を裂いて製品化する裂織を本格的に習おうと。かつて恩師が『80代が人生で一番楽しい』と話してくれました。80代を最高に楽しめるように学びを深めたいし、恩師は92歳まで働いていたので、私もそこまで働くつもりです」
『クロワッサン』1165号より
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