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タレント・磯野貴理子さんの着物の時間──着物は美しい服のひとつ。きちんと、品よく着こなしたい

今回の「着物の時間」は、会社勤めを経てお笑いアイドルグループ「チャイルズ」の一員としてデビュー、解散後は解散後はタレント、俳優として活躍する磯野貴理子さん。日本野鳥の会会員で、近年は趣味の野鳥観察に野鳥の撮影が加わり、登山も始めた。

撮影・青木和義 ヘア&メイク・chiSa(SPEC) 着付け・小田桐はるみ 文・大澤はつ江 撮影協力・八芳園

叔父が描いた蘭の花の訪問着。今日、初めて袖を通します

磯野貴理子(いその・きりこ)さん タレント。三重県出身。会社勤めを経てお笑いアイドルグループ「チャイルズ」の一員としてデビュー。解散後はタレント、俳優として活躍する。日本野鳥の会会員で、近年は趣味の野鳥観察に野鳥の撮影が加わり、登山も始めた。『はやく起きた朝は…』(CSフジテレビ2)、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日系)でコメンテーターとして活躍
磯野貴理子(いその・きりこ)さん タレント。三重県出身。会社勤めを経てお笑いアイドルグループ「チャイルズ」の一員としてデビュー。解散後はタレント、俳優として活躍する。日本野鳥の会会員で、近年は趣味の野鳥観察に野鳥の撮影が加わり、登山も始めた。『はやく起きた朝は…』(CSフジテレビ2)、『ホンマでっか!?TV』(フジテレビ系)、『池上彰のニュースそうだったのか!!』(テレビ朝日系)でコメンテーターとして活躍

グレー地に鮮やかな赤と白が映える訪問着。そこに吉祥文様の「七宝繋ぎ」の袋帯を締め、スッと立つタレントの磯野貴理子さん。

「今日、初めて袖を通しました。着物の柄は蘭の花で、京都で着物に絵を描いていた叔父の作品です。蘭は叔父が得意としていたモチーフなんです」

着物姿の磯野さんは、バラエティー番組などで見る元気いっぱいな姿とは異なり、しっとりした雰囲気だ。

この着物を誂えたのは、なんと30年ほど前。母親の一言がきっかけだった。

「背中の右肩を見てほしい。蘭が描かれているんです。素敵でしょ。帯は知人が貸してくれました」
「背中の右肩を見てほしい。蘭が描かれているんです。素敵でしょ。帯は知人が貸してくれました」

「『あなたも一枚ぐらい叔父さんの着物を持っていてもいいんじゃない』と言われたんです。そこで、今は着ないけれど、50代になったら着る機会も増えるだろう、ならば長く着られる色にしようと思い、グレーを選びました。京都で仕立ててもらい、できあがったまま箪笥に。最初のうちは機会があれば着よう、と思っていたのですが、箪笥の肥やしになっていました。ですから今回、このお話をいただいたとき、絶対に叔父の着物を着ようと。30年たってやっと着ることができました」

念願の着物に袖を通して気がついたことがあるという。

「花だけでなく、茎の下に根が描かれていたんです。それを見てビックリしました。芸能界に入った私が、そこでずっと根を張り、活躍できるように、という思いを込めてくれたのではないかと思い……。叔父はすでに他界しているので真意はわかりませんが、私はそう思っています。叔父が元気なうちに着物姿を見せてあげたかった。忘れていたのが悔やまれます。でも今日の姿をどこかで見てくれて、きっと喜んでいるはずです」

和の習い事が好きで、今までも習字、日本舞踊、お茶などに親しんできた磯野さん。特に日本舞踊に触れたことで、日常の立ち居振る舞いに気をつけるようになり、プラスになっている。

「芸能界に入った20代の前半に日舞を習っていました。お稽古は浴衣で行うので、先生や先輩方に着付けを教えてもらい、自分で着られるまでになりました。浴衣の畳み方も教えてもらったので、着物は畳めます」

母親が着物が好きだったこともあり、子どもの頃から浴衣や着物を着る機会が多かったという磯野さん。

「夏祭りやお正月などに着ていましたね。今でも夏に浴衣を着て友人たちと出かけることもあります」

つばき油は「鷹」の渡りを見に五島列島に行った際に購入。「髪や顔に使用。柘植の櫛は髪にツヤが出ます」
つばき油は「鷹」の渡りを見に五島列島に行った際に購入。「髪や顔に使用。柘植の櫛は髪にツヤが出ます」

仕事で着物を着る機会も多くあったが、その中で忘れられない失敗がある。お笑いアイドルグループ「チャイルズ」の一員として活動していたときのことだ。

「正月番組で振袖を着て椅子に座り、メンバーとおしゃべりをするネタをしたときに、振袖であることをすっかり忘れ、いつものように足を組んでしゃべっていたんです。なんて行儀の悪い姿なんだろうと、今思うと冷や汗が出ます。気が付かなかった自分が情けない。日舞であんなに作法を教えてもらったというのに……」

そんな磯野さんに着こなしで大切にしていることを聞くと。

「着物は日本の美しい服のひとつ。柄、色、素材すべてが魅力的。だからこそ、きちんと品よく着こなしたい。着物を着ると動きに制約があるため、いつもと違う所作が求められます。言葉遣いまで気を配るようになり、新しい私に出会えるような気がします。実は、今回のこのお話を機に日本舞踊を再開したんです。大好きな着物をちゃんと着こなしたいですし、作法や所作をもう一度勉強したいと思い……。これからも品格のある着こなしを常に心がけたいです」

『クロワッサン』1160号より

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