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ビクトリア州を代表するワイン産地、ヤラ・バレーの美味しいワインと食を味わいに。

オーストラリア南東部のビクトリア州。その州都であるメルボルンは、イギリスの政治経済誌〈エコノミスト〉の『世界で最も住みやすい都市』ランキングで7回も1位に選ばれている街です。ヨーロッパを思わせる美しい街並みの中には、数多くのカフェやレストランが立ち並び、オーストラリアでも屈指のおいしい街としても有名。そんなメルボルンの魅力的な美食の数々をご紹介します。

写真・文 斎藤理子 ※文中のAUD(エーユーディー)はオーストラリアの通貨です。1AUD=107.50円(2024年7月1日現在)

ビクトリア州を代表するワイン産地、ヤラ・バレーの美味しいワインと食を味わいに。

メルボルンから車で約45分。ヤラ山脈の谷間にあるヤラ・バレーはオーストラリアの主要なワイン産地のひとつで、6000エーカー以上の土地に約70のワイナリーが存在します。メルボルンから日帰りでも楽しめる、ヤラ・バレーに精通したツアーに参加して、ワインテイスティングやワイナリーレストランの美味を体験しましょう!

世界的にも珍しい「食用の森」で、持続可能な有機農産物育成を学ぶ。

ワイナリーの前に訪れたのは、〈The Edible forest(エディブルフォレスト)〉。“食べられる森”“食用の森”の名前の通り、有機無農薬で育てられている植物はすべて食べられるという稀有な森です。120エーカーという広大な土地でウエディング&イベント施設を運営するヤラ・バレーエステートの中にあり、外の環境に影響が出ないようにするのと同時に、鳥や動物、育成計画外の植物が侵入するのを防ぐため全体がネットで覆われています。

「お客様の食事に使う季節の野菜を育てたいと思い、畑を始めたのがスタートです。キッチンのすぐ横にあるためフードマイレージがかからないこの畑は、ヤラ・バレーエステートの持続可能性の理念と完全に一致しました。小さな畑では需要に追いつかなくなったので、土壌改良を重ねてどんどん面積を広げ、今では1エーカーの森になっています」と語るのは、ヤラ・バレーエステートのオーナーで〈The Edible forest〉のディレクターのルイーズ・ウォードさん。現在は、野菜、ハーブ、野草、薬草、果実など350種類以上を自然栽培しています。

〈The Edible forest〉には、お茶、湿地、ブッシュタッカー(先住民族アボリジナルに伝統的に利用されてきた同国原産の動植物のこと)、食用の花、温帯雨林、ベリーの森林の6つの特別に設計されたエリアがあります。収穫されたものはレストランのキッチンへ。獲れ過ぎたものはジャムやピクルスに、薬草やハーブはお茶にして販売もしています。一見無造作のようでいて、そこに植えられている理由がある植物たち。ルイーズさんの解説を聞きながら森を歩けば、パーマカルチャー(パーマネント=永続性、アグリカルチャー=農業、カルチャー=文化を組み合わせた造語)を提唱し、永続可能な農業を追求する彼女の熱い思いが伝わってきます。

〈The Edible forest〉のディレクターのルイーズ・ウォードさん。 森にある植物すべてに精通している。
〈The Edible forest〉のディレクターのルイーズ・ウォードさん。 森にある植物すべてに精通している。
レストランのキッチンから出る生ゴミをコンポストにして土壌改良を重ねた森には、生命力にあふれた植物が育つ。
レストランのキッチンから出る生ゴミをコンポストにして土壌改良を重ねた森には、生命力にあふれた植物が育つ。
雑木林のような果樹セクション。枯れた木は椅子にするなど、無駄にするものはひとつもない。
雑木林のような果樹セクション。枯れた木は椅子にするなど、無駄にするものはひとつもない。
オーストラリアのみならず、世界中から収集された植物が育てられている。
オーストラリアのみならず、世界中から収集された植物が育てられている。
〈The Edible forest〉のディレクターのルイーズ・ウォードさん。 森にある植物すべてに精通している。
レストランのキッチンから出る生ゴミをコンポストにして土壌改良を重ねた森には、生命力にあふれた植物が育つ。
雑木林のような果樹セクション。枯れた木は椅子にするなど、無駄にするものはひとつもない。
オーストラリアのみならず、世界中から収集された植物が育てられている。

ヤラ・バレーのワイナリーで、ワインテイスティングを体験。

なだらかに広がる美しいブドウ畑に囲まれた〈Dominique Portet(ドミニク・ポルテ)〉は、ボルドー出身のドミニク・ポルテさんのワイナリー。名門のワインメーカーとして九代目になるポルテさんは1976年にオーストラリアに移住し、オーストラリアワインのパイオニアのひとりになりました。

世界各地を見てまわり、オーストラリア各地でワイン造りに取り組んできたドミニクさんが最終的に選んだ土地がヤラ・バレー。この土地で作られるカベルネ種とメルロー種の品質の高さが一因だったといいます。現在葡萄畑には、ソーヴィニヨン・ブランをはじめシャルドネ、カベルネ・ソーヴィニヨン、ピノ・ノワール、メルローが育てられ、素晴らしいワインに醸造されています。

セラーにあるテイスティング・バー。グラス1杯飲むだけでもOK。おつまみも用意されている。ワイナリー見学と5種類のテイスティング(AUD55)や、おつまみとロゼ3種のテイスティング(AUD75)などもある。
セラーにあるテイスティング・バー。グラス1杯飲むだけでもOK。おつまみも用意されている。ワイナリー見学と5種類のテイスティング(AUD55)や、おつまみとロゼ3種のテイスティング(AUD75)などもある。
ビストロスタイルのレストランも併設。メニューには、軽い前菜からしっかりとした肉料理まで、美味しいフレンチが並ぶ。
ビストロスタイルのレストランも併設。メニューには、軽い前菜からしっかりとした肉料理まで、美味しいフレンチが並ぶ。
レストランの奥にあるショップでは、〈ドミニク・ポルテ〉のワインが全種類揃い、購入することができる。
レストランの奥にあるショップでは、〈ドミニク・ポルテ〉のワインが全種類揃い、購入することができる。
ヤラ・バレーの中でも冷涼でブドウ作りに適しているコールド・ストリームという土地にある〈ドミニク・ポルテ〉のブドウ畑。
ヤラ・バレーの中でも冷涼でブドウ作りに適しているコールド・ストリームという土地にある〈ドミニク・ポルテ〉のブドウ畑。
2022年度のピノ・ノワールが2023年、〈メルボルン・ロイヤル・ワイン・アカデミー〉の金賞を受賞した。
2022年度のピノ・ノワールが2023年、〈メルボルン・ロイヤル・ワイン・アカデミー〉の金賞を受賞した。
ドミニク・ポルテ・ブリュット・ロゼ。ピノ・ノワール50%、シャルドネ30%、ピノ・ムニエ20%。シャンパン方式で作られるスパークリングワイン。辛口でアロマティックな香りがあり非常に飲みやすい。 AUD42。
ドミニク・ポルテ・ブリュット・ロゼ。ピノ・ノワール50%、シャルドネ30%、ピノ・ムニエ20%。シャンパン方式で作られるスパークリングワイン。辛口でアロマティックな香りがあり非常に飲みやすい。 AUD42。
ドミニク・ポルテ・フォンテーヌ・ロゼ2023。シラーズ60%、カベルネ・ソーヴィニヨン25%、メルロー15%。ベリー類の香りが複雑に香る、柔らかい口当たりのロゼ。AUD28。
ドミニク・ポルテ・フォンテーヌ・ロゼ2023。シラーズ60%、カベルネ・ソーヴィニヨン25%、メルロー15%。ベリー類の香りが複雑に香る、柔らかい口当たりのロゼ。AUD28。
ドミニク・ポルテ・シングルヴィンヤード・シャルドネ。樽香を感じながらもすっきりとしてクリスピー。AUD48。
ドミニク・ポルテ・シングルヴィンヤード・シャルドネ。樽香を感じながらもすっきりとしてクリスピー。AUD48。
ドミニク・ポルテ・シングルヴィンヤード・ピノ・ノワール。ふくよかで複雑味があり、肉料理との相性は抜群。AUD52。
ドミニク・ポルテ・シングルヴィンヤード・ピノ・ノワール。ふくよかで複雑味があり、肉料理との相性は抜群。AUD52。
セラーにあるテイスティング・バー。グラス1杯飲むだけでもOK。おつまみも用意されている。ワイナリー見学と5種類のテイスティング(AUD55)や、おつまみとロゼ3種のテイスティング(AUD75)などもある。
ビストロスタイルのレストランも併設。メニューには、軽い前菜からしっかりとした肉料理まで、美味しいフレンチが並ぶ。
レストランの奥にあるショップでは、〈ドミニク・ポルテ〉のワインが全種類揃い、購入することができる。
ヤラ・バレーの中でも冷涼でブドウ作りに適しているコールド・ストリームという土地にある〈ドミニク・ポルテ〉のブドウ畑。
2022年度のピノ・ノワールが2023年、〈メルボルン・ロイヤル・ワイン・アカデミー〉の金賞を受賞した。
ドミニク・ポルテ・ブリュット・ロゼ。ピノ・ノワール50%、シャルドネ30%、ピノ・ムニエ20%。シャンパン方式で作られるスパークリングワイン。辛口でアロマティックな香りがあり非常に飲みやすい。 AUD42。
ドミニク・ポルテ・フォンテーヌ・ロゼ2023。シラーズ60%、カベルネ・ソーヴィニヨン25%、メルロー15%。ベリー類の香りが複雑に香る、柔らかい口当たりのロゼ。AUD28。
ドミニク・ポルテ・シングルヴィンヤード・シャルドネ。樽香を感じながらもすっきりとしてクリスピー。AUD48。
ドミニク・ポルテ・シングルヴィンヤード・ピノ・ノワール。ふくよかで複雑味があり、肉料理との相性は抜群。AUD52。

ホテルとレストランを備えたワイナリーで極上のひとときを。

ヤラ・バレーの中央あたりに位置する〈Helen & Joey Estate(ヘレン&ジョーイ・エステート)〉は、ブドウ畑、醸造所、ブティックホテル、レストラン、セラードア(試飲直売所)を兼ね備えたワイナリー。200エーカーの敷地で『ユニコーン』『ウェイワードチャイルド』『リーム』『アリコーン』の4種類のブランドのワインを製造しています。

ワイン畑を見渡せる素晴らしい景色の中に昨年、16室のブティックホテル〈リームホテル〉もオープン。快適でエレガントな客室にはすべてプライベートバルコニーかパティオがあり、自宅にいるかのようなくつろぎと、素晴らしいサービスが体験できます。メルボルンから1時間以内で来られる場所に、素敵なリゾートが誕生しました。

『マウンテンビュー・アリコーンスイート』のバスルーム。最上階には4つの特大スイートがあり、どの部屋にもブドウ畑やウォーターガーデンが見渡せる位置に大きなバスタブが備えられている。
『マウンテンビュー・アリコーンスイート』のバスルーム。最上階には4つの特大スイートがあり、どの部屋にもブドウ畑やウォーターガーデンが見渡せる位置に大きなバスタブが備えられている。
『リーム・バルコニー・スイート』。バルコニーからは、ヤラ・バレーを囲む山々の美しさが堪能できる。
『リーム・バルコニー・スイート』。バルコニーからは、ヤラ・バレーを囲む山々の美しさが堪能できる。
どの客室からもウォーターガーデンと広大なブドウ畑が見える。
どの客室からもウォーターガーデンと広大なブドウ畑が見える。
1階にある『アクセシブル・リーム・スイート』。ウォークアウト・パティオがあり、噴水が目の前に。
1階にある『アクセシブル・リーム・スイート』。ウォークアウト・パティオがあり、噴水が目の前に。
6人〜24人までのグループでテイスティングのできるワインセラー〈バレルルーム〉。
6人〜24人までのグループでテイスティングのできるワインセラー〈バレルルーム〉。
『マウンテンビュー・アリコーンスイート』のバスルーム。最上階には4つの特大スイートがあり、どの部屋にもブドウ畑やウォーターガーデンが見渡せる位置に大きなバスタブが備えられている。
『リーム・バルコニー・スイート』。バルコニーからは、ヤラ・バレーを囲む山々の美しさが堪能できる。
どの客室からもウォーターガーデンと広大なブドウ畑が見える。
1階にある『アクセシブル・リーム・スイート』。ウォークアウト・パティオがあり、噴水が目の前に。
6人〜24人までのグループでテイスティングのできるワインセラー〈バレルルーム〉。

ワイナリーレストランで楽しむ極上のワインとランチ。

〈Re’em Restaurant(リーム・レストラン)〉は、〈ヘレン&ジョーイ・エステート〉の中心にあり、どの席からもブドウ畑が見える開放的な空間です。料理長のエイブ・ヤンが作り出すのは、四川など中国料理のテイストを取り入れたモダンオーストラリアン料理。キッチン中央にある薪焼きグリルでローストされる魚介類や肉が絶品です。

ワインとのマリアージュを楽しみたければ、週末ランチにあるワインテイスティングメニューがおすすめ。ワインの美味しさを最大限に引き出す食材使いと味付けが、〈ヘレン&ジョーイ・エステート〉ワインの魅力をますます引き出します。週末(土曜・日曜)ランチは、料理2品AUD80にワインペアリングAUD45から。平日のランチは月曜、木曜、金曜の営業で、ワイン1杯と料理2品のコースがAUD85、ワイン1杯と料理3品のコースがAUD100です。

ラムの串焼き、クミン風味。自家製シラチャーソース添え。
ラムの串焼き、クミン風味。自家製シラチャーソース添え。
ホームメイド餃子とチリソース。椎茸の旨みがたっぷり。
ホームメイド餃子とチリソース。椎茸の旨みがたっぷり。
鴨胸肉ともも肉のロースト、鴨肉餃子。非常に柔らかくジューシーな焼き上がり。
鴨胸肉ともも肉のロースト、鴨肉餃子。非常に柔らかくジューシーな焼き上がり。
右/スパークリングワインのNVエクストラ・ドライ・ブラン・ド・ブラン(ボトルAUD35)。左/リーム・シャルドネ(左・ボトルAUD80)。
右/スパークリングワインのNVエクストラ・ドライ・ブラン・ド・ブラン(ボトルAUD35)。左/リーム・シャルドネ(左・ボトルAUD80)。
右から、シャルドネ、ピノノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン。
右から、シャルドネ、ピノノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン。
カジュアルで開放的なレストラン。窓際のブース席がおすすめ。ランチ木曜〜月曜12時〜15時、ディナー金曜・土曜17時30分〜19時30分
カジュアルで開放的なレストラン。窓際のブース席がおすすめ。ランチ木曜〜月曜12時〜15時、ディナー金曜・土曜17時30分〜19時30分
ラムの串焼き、クミン風味。自家製シラチャーソース添え。
ホームメイド餃子とチリソース。椎茸の旨みがたっぷり。
鴨胸肉ともも肉のロースト、鴨肉餃子。非常に柔らかくジューシーな焼き上がり。
右/スパークリングワインのNVエクストラ・ドライ・ブラン・ド・ブラン(ボトルAUD35)。左/リーム・シャルドネ(左・ボトルAUD80)。
右から、シャルドネ、ピノノワール、カベルネ・ソーヴィニヨン。
カジュアルで開放的なレストラン。窓際のブース席がおすすめ。ランチ木曜〜月曜12時〜15時、ディナー金曜・土曜17時30分〜19時30分
  • 斎藤理子

    斎藤理子 さん

    フードジャーナリスト

    雑誌編集者を経てロンドンなど海外に長年住み、その間世界各国を食べ歩く。現在は国内外の生産者から三つ星シェフ、立ち飲みまで広く取材し執筆。著書に「イギリスを食べつくす」(主婦の友社)、「隣人たちのブリティッシュスタイル」(NHK出版)など。編著に『アル・ケッチァーノ』奥田政行シェフの連載をまとめた「田舎のリストランテ頑張る」(マガジンハウス)。2011年英国政府観光庁メディアアワード受賞。やまがた特命観光・つや姫大使。

協力:オーストラリア政府観光局 https://www.australia.com/ja-jp
ビクトリア州政府観光局 https://jp.visitmelbourne.com/

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