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オーストラリア随一の美食の街メルボルンで、 個性的でおいしいレストランを堪能!

オーストラリア南東部のビクトリア州。その州都であるメルボルンは、イギリスの政治経済誌〈エコノミスト〉の『世界で最も住みやすい都市』ランキングで7回も1位に選ばれている街です。ヨーロッパを思わせる美しい街並みの中には、数多くのカフェやレストランが立ち並び、オーストラリアでも屈指のおいしい街としても有名。そんなメルボルンの魅力的な美食の数々をご紹介します。

写真・文 斎藤理子 ※文中のAUD(エーユーディー)はオーストラリアの通貨です。1AUD=107.50円(2024年7月1日現在)

生牡蠣、ライベリー入りミニョネット・ソース(ヴィネガー)。 1個 AUD7。
生牡蠣、ライベリー入りミニョネット・ソース(ヴィネガー)。 1個 AUD7。

フレンチやイタリアンなどのヨーロッパ料理はもちろん、アジア・南米・中東など世界各国の料理や先住民アボリジナルの食文化を取り入れた料理まで、実にバラエティ豊かで高水準な食が揃っているメルボルン。数えきれないほどのレストランがある街の中でも、特に人気の高い店を体験してきました。

先住民の食文化を随所に取り入れた、イノベーティブ・レストランで新しい味覚を体験。

〈Big Esso by Mabu Mabu(ビッグ・エッソ・バイ・マブマブ)〉は、トレス海峡諸島のメリアム族出身のノーニー・ベロさんがオーナーシェフ。 “ビッグ・エッソ”とはトレス海峡の先住民の俗語で“最大の感謝”を意味し、“マブ・マブ”は“いただきます”と類似の言葉です。最大の感謝で食事を始めるという意味が込められています。

ネイティブの食材をふんだんに使ったノーニーさんの料理は、これまでに体験したことのない味の世界。不思議な香りや酸味のあるハーブや野菜が、エミューやワラビーといったエキゾチックな食材の旨みを見事に引き出し、唯一無二の味に仕立てます。特に驚いたのは、ワニの舌を串焼きにした一品。食材を聞くとちょっと腰が引けますが、これがびっくりするほどのおいしさ。インド系のオリジナルスパイスとの相性も抜群な、初めての味覚と食感が体験できます。

キングフィッシュのカルパッチョ。タイガーズ・ミルクというオリジナルソースで。AUD32。
キングフィッシュのカルパッチョ。タイガーズ・ミルクというオリジナルソースで。AUD32。
ワニの舌の炭火串焼き。ティーグラス・レッドカレー風味。AUD12。
ワニの舌の炭火串焼き。ティーグラス・レッドカレー風味。AUD12。
エミューのステーキ、マカデミアソース。AUD54。
エミューのステーキ、マカデミアソース。AUD54。
ワラビーのスネ肉の煮込み。ソルトブッシュ(葉に塩気がある砂漠の植物)とトマティーロ(ホウズキのような植物)のサルサベルデ。AUD38。
ワラビーのスネ肉の煮込み。ソルトブッシュ(葉に塩気がある砂漠の植物)とトマティーロ(ホウズキのような植物)のサルサベルデ。AUD38。
店は、フリンダースストリート駅前、ヤラ川沿いにある総合文化施設のフェデレーションスクエアの一角にある。
店は、フリンダースストリート駅前、ヤラ川沿いにある総合文化施設のフェデレーションスクエアの一角にある。
スタッフは100%先住民。ネイティブの食材をオーストラリア全土のレストランに供給するのがノーニー・ベロシェフの目標だそう。
スタッフは100%先住民。ネイティブの食材をオーストラリア全土のレストランに供給するのがノーニー・ベロシェフの目標だそう。
キングフィッシュのカルパッチョ。タイガーズ・ミルクというオリジナルソースで。AUD32。
ワニの舌の炭火串焼き。ティーグラス・レッドカレー風味。AUD12。
エミューのステーキ、マカデミアソース。AUD54。
ワラビーのスネ肉の煮込み。ソルトブッシュ(葉に塩気がある砂漠の植物)とトマティーロ(ホウズキのような植物)のサルサベルデ。AUD38。
店は、フリンダースストリート駅前、ヤラ川沿いにある総合文化施設のフェデレーションスクエアの一角にある。
スタッフは100%先住民。ネイティブの食材をオーストラリア全土のレストランに供給するのがノーニー・ベロシェフの目標だそう。

メルボルンで一番おしゃれなカフェやレストランが集まっているフリンダース・レーンにある〈CUMULUS INC.(キュムラス)〉。常に満席の大人気店です。カフェのようにカジュアルな雰囲気なのに料理は本格派、というのがメルボルンで人気のあるレストランのトレンドになっていますが、〈CUMULUS INC.〉のオーナーシェフでスターシェフでもあるアンドリュー・マコーネルさんは、そのスタイルを打ち出した先駆者的存在。ランチからディナーまで通しで、いつでもおいしいものと出合えます。

マコーネルシェフは、イギリスのロースト料理やフランスのビストロクラシックなどのヨーロッパ料理をベースにしながらも、地元の先住民のスパイスや食材を取り入れて、唯一無二の味を作り出します。軽やかに仕立てた前菜の数々はワインにぴったり。メインのシグネチャーメニューは[ゆっくりとローストした仔羊の肩肉]。ほろほろになるまでローストされた肉は滋味深く、赤ピーマンのソースとの相性も抜群です。

シャーク・ベイで採れた帆立をブラウンバターで。アレッポ・ペッパーを隠し味に。AUD9。
シャーク・ベイで採れた帆立をブラウンバターで。アレッポ・ペッパーを隠し味に。AUD9。
マグロのタルタル。山羊のカード(ミルクを固めた柔らかいチーズのようなもの)、グリンピース、ミント。AUD32。マグロのクオリティが非常に高く、脂がのっていておいしい。カードやグリンピース、ミントとも不思議とよく合う。
マグロのタルタル。山羊のカード(ミルクを固めた柔らかいチーズのようなもの)、グリンピース、ミント。AUD32。マグロのクオリティが非常に高く、脂がのっていておいしい。カードやグリンピース、ミントとも不思議とよく合う。
和牛ブレザオラ、コールラビ、レモンマヨネーズ、ケッパー。AUD22。ブレサオラは牛肉の生ハム。
和牛ブレザオラ、コールラビ、レモンマヨネーズ、ケッパー。AUD22。ブレサオラは牛肉の生ハム。
ロースト・エルサレム・アーティチョーク、セロリアック、ラディッキオ。AUD24。エルサレム・アーティチョークは菊芋の仲間。
ロースト・エルサレム・アーティチョーク、セロリアック、ラディッキオ。AUD24。エルサレム・アーティチョークは菊芋の仲間。
スロー・ロースト・ラムショルダー、アーモンド、赤ピーマンのソース。AUD85。
スロー・ロースト・ラムショルダー、アーモンド、赤ピーマンのソース。AUD85。
CUMULUS INC.のエントランス。1階がレストラン、2階がワインバーになっている。
CUMULUS INC.のエントランス。1階がレストラン、2階がワインバーになっている。
活気にあふれる店内。シェフのセレクションメニューコースは6品前後でAUD88。
活気にあふれる店内。シェフのセレクションメニューコースは6品前後でAUD88。
シャーク・ベイで採れた帆立をブラウンバターで。アレッポ・ペッパーを隠し味に。AUD9。
マグロのタルタル。山羊のカード(ミルクを固めた柔らかいチーズのようなもの)、グリンピース、ミント。AUD32。マグロのクオリティが非常に高く、脂がのっていておいしい。カードやグリンピース、ミントとも不思議とよく合う。
和牛ブレザオラ、コールラビ、レモンマヨネーズ、ケッパー。AUD22。ブレサオラは牛肉の生ハム。
ロースト・エルサレム・アーティチョーク、セロリアック、ラディッキオ。AUD24。エルサレム・アーティチョークは菊芋の仲間。
スロー・ロースト・ラムショルダー、アーモンド、赤ピーマンのソース。AUD85。
CUMULUS INC.のエントランス。1階がレストラン、2階がワインバーになっている。
活気にあふれる店内。シェフのセレクションメニューコースは6品前後でAUD88。

美食の街メルボルンで大人気の、タイプの異なる3つのレストラン。

多民族で構成されるメルボルンでは、世界中のさまざまな食文化を先進的かつ洗練された形で体験することができます。〈CUMULUS INC.〉のオーナーシェフ、アンドリュー・マコーネルが打ち出したアジア料理のレストラン〈Supernormal(スーパーノーマル)〉もそのひとつ。マコーネンシェフが住んでいたことがある上海と香港を始め、東京やソウルなどの影響を受けた“アジア料理”は、どこかで食べたことがあるようでいて、まったく新しい味わいという不思議な世界。四川料理のスパイスが随所に取り入れられ、メリハリが利いた料理に仕立てています。オーストラリア人から見たアジア料理というイメージで、日本人にはなかなか思いつけないメニューの数々が楽しめます。

(右)椎茸とオイスターマシュルームのマリネ、絹豆腐、青唐辛子のピクルス。AUD24。(左)ムール貝入りローストフラットブレッド。AUD12。
(右)椎茸とオイスターマシュルームのマリネ、絹豆腐、青唐辛子のピクルス。AUD24。(左)ムール貝入りローストフラットブレッド。AUD12。
海老と鶏肉の餃子、唐辛子とヴィネガー。6個 AUD19。
海老と鶏肉の餃子、唐辛子とヴィネガー。6個 AUD19。
よだれ鶏、細切りポテト、ほうれん草、胡麻ソース。AUD28。
よだれ鶏、細切りポテト、ほうれん草、胡麻ソース。AUD28。
スロークックド・ラムショルダー、トラストマト、四川のユーシャンソース、カリカリにんにく。AUD62。
スロークックド・ラムショルダー、トラストマト、四川のユーシャンソース、カリカリにんにく。AUD62。
ピーナツバターパフェ、塩キャラメル、ソフトチョコレート。AUD18。
ピーナツバターパフェ、塩キャラメル、ソフトチョコレート。AUD18。
Supernormalエントランス。中に入ると日本語のサインやプリッツの自販機などが置かれていて楽しい。
Supernormalエントランス。中に入ると日本語のサインやプリッツの自販機などが置かれていて楽しい。
(右)椎茸とオイスターマシュルームのマリネ、絹豆腐、青唐辛子のピクルス。AUD24。(左)ムール貝入りローストフラットブレッド。AUD12。
海老と鶏肉の餃子、唐辛子とヴィネガー。6個 AUD19。
よだれ鶏、細切りポテト、ほうれん草、胡麻ソース。AUD28。
スロークックド・ラムショルダー、トラストマト、四川のユーシャンソース、カリカリにんにく。AUD62。
ピーナツバターパフェ、塩キャラメル、ソフトチョコレート。AUD18。
Supernormalエントランス。中に入ると日本語のサインやプリッツの自販機などが置かれていて楽しい。

フェデレーションスクエアのトランスポートホテル2階にあるのが〈Taxi Kitchen(タクシー・キッチン)〉。ほぼガラス張りの店内からヤラ川を一望できる、素晴らしいロケーションのレストランです。エグゼクティブ・シェフのトニー・トウィチェットさんが基本としているのは、常に高水準な料理を作ること、創造的であること、サステナブルなことの3点。持続可能な地元産農産物を使い、アジアンなテイストが加わったモダンオーストラリア料理を作りあげます。地元ビクトリア州にこだわったワインリストも見逃せません。

ジャパニーズ・パンプキンのロースト。菊芋のマッシュ、ワイルドライスとふりかけ添え。AUD26。
ジャパニーズ・パンプキンのロースト。菊芋のマッシュ、ワイルドライスとふりかけ添え。AUD26。
ロック・ロブスターのベタルリーフ包み天ぷら。AUD28。
ロック・ロブスターのベタルリーフ包み天ぷら。AUD28。
クリスピーポテトとキャベツのバオ(中華蒸しパン)包み。山椒とマヨネーズ。AUD18。
クリスピーポテトとキャベツのバオ(中華蒸しパン)包み。山椒とマヨネーズ。AUD18。
四川風ダックのロースト。AUD53。
四川風ダックのロースト。AUD53。
ヤラ川や街の風景が見渡せる店内。
ヤラ川や街の風景が見渡せる店内。
色々なタイプのバーや、ルーフトップテラスも併設している。
色々なタイプのバーや、ルーフトップテラスも併設している。
ジャパニーズ・パンプキンのロースト。菊芋のマッシュ、ワイルドライスとふりかけ添え。AUD26。
ロック・ロブスターのベタルリーフ包み天ぷら。AUD28。
クリスピーポテトとキャベツのバオ(中華蒸しパン)包み。山椒とマヨネーズ。AUD18。
四川風ダックのロースト。AUD53。
ヤラ川や街の風景が見渡せる店内。
色々なタイプのバーや、ルーフトップテラスも併設している。

フィリピン出身のシェフ、ロス・マグネイさんとシェーン・スタンフォードさんが2023年にオープンした〈SERAI(セライ)〉は、伝統的なフィリピン料理を再構築したモダンフィリピン料理の店。キッチンにしつらえた大きな囲炉裏でローストされる豚や鴨が人気です。特に、オーストラリア中西部のポートリンカーンで水揚げされた大きなイカの薪火焼きや、豚の首肉をじっくりローストしてフィリピン風のソースを絡めた一皿は必食。フィリピン料理の食材やスタイルにヨーロッパテイストをプラスしたクリエィティブな料理の数々は、メルボルンでもここでしか出合えない味です。

[シヌグロウ]マレイ・リヴァー産パーチ(白身魚)のマリネとスモークポーク、きゅうり、ピナクラット・ヴィネガー(椰子の実の酢)。シヌグロウは焼いた豚肉と生魚のマリネを合わせたフィリピン料理。AUD30。
[シヌグロウ]マレイ・リヴァー産パーチ(白身魚)のマリネとスモークポーク、きゅうり、ピナクラット・ヴィネガー(椰子の実の酢)。シヌグロウは焼いた豚肉と生魚のマリネを合わせたフィリピン料理。AUD30。
[セラット・ルンピア]スモークしたパイナップル、スパイスを利かせたココナッツ、スモークキャビアのカナッペ。2個AUD22。
[セラット・ルンピア]スモークしたパイナップル、スパイスを利かせたココナッツ、スモークキャビアのカナッペ。2個AUD22。
ポートリンカーン・カラマリ(イカ)の薪火焼き ロンガニーサ・サラミのンドゥイヤ(サラミのペースト)添え。AUD30。
ポートリンカーン・カラマリ(イカ)の薪火焼き ロンガニーサ・サラミのンドゥイヤ(サラミのペースト)添え。AUD30。
オーストラリア・ジップスランド産ラムチョップ アドボソース。AUD30。
オーストラリア・ジップスランド産ラムチョップ アドボソース。AUD30。
[イニハウ・ナ・バボイ]ウェスタン・プレイン豚首肉のグリル ソーサワンソース(醤油と酢ベースのフィリピンのソース)。AUD30。[イニハウ・ナ・バボイ]はフィリピン語で豚のグリルのこと。
[イニハウ・ナ・バボイ]ウェスタン・プレイン豚首肉のグリル ソーサワンソース(醤油と酢ベースのフィリピンのソース)。AUD30。[イニハウ・ナ・バボイ]はフィリピン語で豚のグリルのこと。
[シヌグロウ]マレイ・リヴァー産パーチ(白身魚)のマリネとスモークポーク、きゅうり、ピナクラット・ヴィネガー(椰子の実の酢)。シヌグロウは焼いた豚肉と生魚のマリネを合わせたフィリピン料理。AUD30。
[セラット・ルンピア]スモークしたパイナップル、スパイスを利かせたココナッツ、スモークキャビアのカナッペ。2個AUD22。
ポートリンカーン・カラマリ(イカ)の薪火焼き ロンガニーサ・サラミのンドゥイヤ(サラミのペースト)添え。AUD30。
オーストラリア・ジップスランド産ラムチョップ アドボソース。AUD30。
[イニハウ・ナ・バボイ]ウェスタン・プレイン豚首肉のグリル ソーサワンソース(醤油と酢ベースのフィリピンのソース)。AUD30。[イニハウ・ナ・バボイ]はフィリピン語で豚のグリルのこと。
  • 斎藤理子

    斎藤理子 さん

    フードジャーナリスト

    雑誌編集者を経てロンドンなど海外に長年住み、その間世界各国を食べ歩く。現在は国内外の生産者から三つ星シェフ、立ち飲みまで広く取材し執筆。著書に「イギリスを食べつくす」(主婦の友社)、「隣人たちのブリティッシュスタイル」(NHK出版)など。編著に『アル・ケッチァーノ』奥田政行シェフの連載をまとめた「田舎のリストランテ頑張る」(マガジンハウス)。2011年英国政府観光庁メディアアワード受賞。やまがた特命観光・つや姫大使。

協力
オーストラリア政府観光局 https://www.australia.com/ja-jp
ビクトリア州政府観光局 https://jp.visitmelbourne.com/

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