マンションでも育てやすい植物を選べば、手をかけずに緑を楽しめます
家の中でも外でも植物を楽しむ暮らしを紹介します。
撮影・徳永 彩 文・熊坂麻美
植物のコーディネートなどを手がける森田紗都姫さんが暮らすのは、広いルーフバルコニーとベランダがある都心のマンション。ルーフバルコニーには人工芝を、屋根のあるベランダにはウッドデッキを敷き、鉢植えで樹木やハーブを育てている。
「『マンションで庭のある暮らし』を実現して、お客さんに提案できればと思って始めました。極端に狭い、日がまったく当たらないなどでなければ、ベランダでも充分緑を楽しめますよ」
大事なのは植物の選び方。根元が枝分かれしていて雨風の影響を受けにくく、暑さや寒さに強いオリーブなどが屋外に適しているそう。また、落ち葉が排水口に詰まらないように常緑樹を、台風時にも移動可能な大きすぎないものを選ぶのもポイント。
「乾燥に強く、水やりがそれほどいらないユッカ、花もかわいいグレビレアやアカシアは育てやすくおすすめです」
複数の植物を配置する場合のコツは、背の高いシンボルツリーを真ん中にして両脇に低めの木を置き、漢字の「山」のように置くとバランスがとりやすい。
「小さい葉の『点』、細長い葉の『線』、面積の大きい葉の『面』の要素を持つ植物を組み合わせると、よりこなれた雰囲気になります。このとき、1列に並べるのではなく少しずらして不等辺三角形になるように配置するとしっくりきますよ。室内の植物も同じように意識して置いてみてください」
意外なことに、前の住まいは北向きで暗く、一切植物を育てていなかったという森田さん。緑とともにある今の生活で健康的になったそう。
「植物に不可欠な光と風は自分にも欠かせないものと気づきました。特にプライベートな屋外空間があると、暮らしの楽しみが広がり開放感も格別です」
育てやすい植物の特性と視覚効果。
【室外(ベランダ)】
体験価値がある植物はお世話も楽しい。
アカシアやミモザなどスワッグやリースにできる植物、ロシアンオリーブやレモンなど実のなる植物は、使う楽しみが生まれる。お世話する意欲が出て、ベランダに出る動機付けにも。
風の影響を受けにくいものを選ぼう。
幹が根元から一本だけ伸びている樹形のものは、強風にあおられたとき根にダメージを受けやすい。トネリコやグレビレアなど、根元が複数に分岐している「株立ち」の木なら安心。
【室内】
サトイモ科か多肉植物は初心者にも向く。
少ない水やりで済む多肉植物、ポトスやモンステラなどのサトイモ科の植物は乾燥に強く耐陰性があり、初心者でも育てやすい。「おすすめは葉に斑のあるスキンダプサス(下写真)。見た目がおしゃれで、洗面所など光の入らない場所でも枯れません。葉がシュンとしたときに水やりをすれば、すぐぱりっと元気に」
丸くて垂れる葉…玄関、寝室などに。リラックス効果あり。
上向きのとがった葉…仕事場に向く。生産性を上げる。
形や色が奇抜な葉…リビングなど。コミュニケーションが活発に。
『クロワッサン』1112号より