京都で古き良き暮らしの道具を揃える。
撮影・土佐麻理子 構成&文・長谷川未緒
15年ほど前から京都に通っているという井原裕子さん。
曰く、「京都の道具の良さは、長い歴史に裏打ちされた使いやすさと丈夫さ、美しさにあります」。
東京店があっても京都本店に行くと品揃えが豊富なので京都で買う。
盛り付け箸や和の文具など、リピート買いするものもあれば、ひとめぼれしたり便利な使い道が浮かんだりして、衝動買いするものも。
今回は中でも特に愛用しているものを見せてもらった。
「旅先では気持ちが大きくなっているのでつい買ってしまいます。東京と違い、京都は街の密度が濃く、名店が歩いて回れる距離に集まっています。食材も道具も日用雑貨も、ぱっと買い揃えられるところが、京都の魅力ですね」
明治時代のガラスは、現代のものにはない独特の雰囲気。
ぽってりと厚みがあり、小ぶりで手になじみやすいガラスのコップ。「åちょこっとビールを飲んだり、ジュースを飲んだりするのにちょうどいいサイズなので、愛用しています」
絵柄がずれているところも かわいい。古伊万里の小皿。
価格の高いものから、手に取りやすいものまで揃う。「すごくたくさんあるので、気に入る柄を選ぶ楽しみがあります。座り込んで探しますよ。大きな器と違い、持ち帰りやすいのもうれしい」
見ているだけでうっとり。丁寧に編まれた銅製「手編みかご」。
竹のふちが美しい編み目を引き立てる。「パンを入れたり、鍋をするときに野菜を盛ったり。使わないときも、キッチンに置いておくだけで様になります」。
軽くて使い勝手がいい、モダンな形の「天ぷら鍋」。
三十三間堂そばにある職人の店のアルミの打ち出し鍋。「熱伝導率がよく均一に火が入るので、天ぷら以外も煮魚を煮たり、何にでも使っています」。
帯の模様など、細部まで美しい。舞妓さんモチーフのポチ袋。
「八坂神社のそばで見つけた文具屋さんで購入しました。ふとした瞬間にかわいいものを見つけるのが街歩きの楽しさですね。舞妓さんの姿がかわいらしく、京都らしさに心が浮き立ちます」。お年玉や借りたお金を返すときなどに。
ふだん使いにもお祝いの席にも。赤色が食卓にはえる、漆の器。
おやつ時間に和菓子をのせていただくと、気分が上がるのだそう。「おめでたい感じがする色なので、ひな祭りやお月見のときにお菓子を飾ったりすることもあります」。
一度使ったら、手放せない。 竹製の「京風もりつけ箸」。
先が尖っているから、細かいものまで盛り付けられる。「菜箸で盛り付けている方は、ぜひ盛り付け箸を使ってみてほしいです。お弁当を詰めるときにも便利です」。
手触りと吸水性が抜群! 伊勢木綿の手ぬぐい。
ポップな意匠が揃う。「軽く薄いので荷物にならず、お土産にもおすすめ。ハンカチ代わりに持ち歩いていますが、食事の際ひざに広げたり、大判なので何か包んだり。1枚あると重宝」
ストックしておくと安心。ぬくもりを感じる和の文具。
はがきやポチ袋、文香など、少しずつ買い揃えている。「寸志を包んだり、請求書を送ったり、ちょっとしたお礼を書くのにもよく使うので、常備しています」
『クロワッサン』1089号より