くらし

美しくかつ、使いやすい。京都の審美眼が凝縮した器や道具。

心惹かれる骨董の器、長く愛されてきた道具、京都で出合うものはそれだけで特別。中でも目利きが足繫く通うお店を訪ねる。
  • 撮影・津久井珠美 構成&文・中岡愛子

| 五条 |想(そう) SOU

手の中におさまる小さな器と、暮らしに取り入れたい木版画。

韓国の現代作家「名もなき陶工」の満月つぼ1万3000円。江戸〜昭和の木版画が壁面を彩る。

細い路地奥の、小さな日本家屋。京都の韓国喫茶&ギャラリーに長くつとめた店主の李美香さんが、やさしい笑顔で迎えてくれる。

「白磁と染付が好き」という李さん、骨董の豆皿や猪口は「心ときめくもの」を基準にセレクト。

「作家もの、李朝を感じるもの、古いもの、手の中におさまる小さな器を集めています。

韓国の陶芸アーティストTorim Porcelainに別注した蓋碗 各2万1000円、江戸の豆皿各1万2000円。

カジュアルな浮世絵はぜひインテリアに」と、畳の上で対話を楽しみながら、ゆったり選ぶ時間ごと愛おしい店。

右・浮世絵2万2000円も「小さな」サイズを。左・「清水焼の窯元や店が集まる五条坂の路地という立地もいい」(編集者、ライター・宮下亜紀さん)

●京都市東山区問屋通り五条下ル3丁目東橘町459
TEL.075・366・4760 
営業時間:12時〜17時 水曜休、不定休 京阪清水五条駅から徒歩3分。

| 岡崎 |essencekyoto(エッセンスキョウト)

日本の手仕事の力強さが清らかに満ちたギャラリー。

凛とした空間で、夫妻のやわらかな雰囲気に心和む。お茶の商社につとめていた里恵さんによるオリジナルの茶葉の販売も。

長く海外に暮らした荒谷啓一さんと妻の里恵さんが、4年前にオープン。

琵琶湖疎水沿いの気持ちのいい店内。

「日本の作り手を世界に伝えたい」という志のもと、小野哲平、赤木明登など人気作家をはじめ、ものづくりの本質に焦点を当てたセレクトに根強いファンが多い。

吉川和人による「宮川ミラー 大」7万8100円(受注販売)。

「個展時には独自のインタビューを載せたリーフレットを制作するほど真摯な姿勢が素敵です」(宮下さん)

夫妻も愛用する、小野哲平作の薪窯猪口(中) 各5,500円。

●京都市左京区岡崎円勝寺町36・1 2F 
TEL.075・744・0680 
営業時間:11時〜18時 月曜休、不定休 
地下鉄東山駅から徒歩5分。

| 祇園 |昂(こう) KYOTO

西洋×現代作家の美の融合。作家の展覧会もチェックして。

辻村唯の自然釉スミレ壺1万5000円、佃眞吾の菊花トレイ3万8000円。

「私は敷物が好きです。敷物をかえるだけでいつも使っているものの新しい魅力に気付き、素敵なテーブルコーディネイトができます」。

佃眞吾の日ノ丸盆にイギリスのアンティークのガラス、オーストリアのナイフレストなどを大らかに合わせて。

骨董に囲まれて育った店主の永松仁美さんが「好き」と感じたものを集めた空間は上品で愛らしく、西洋のアンティークの銀盆をもとに制作された木工作家の佃眞吾による盆など、ここだけの美に出合える。

店内中央の棚に、ヨーロッパで買い付けたアンティークの器やシルバーが色とりどりに。
永松さんの朗らかな人柄にも人気が。

●京都市東山区祇園町南側581 ZEN2F 
TEL.075・525・0805 
営業時間:12時〜18時 月・火曜休(祝日は営業)、不定休 
京阪祇園四条駅から徒歩3分。

| 四条烏丸 |木と根(きとね)

使いやすさと見た目の温もり。どこにもなじむ生活道具。

取り扱う作家は、陶器をメインに木工など40人ほど。食卓のイメージが自然と湧いてくるディスプレイ。

店主の林七緒美さんが実際に使って生活になじむ器、木工、「すごく素敵」と惚れ込んだ琵琶湖の淡水真珠のアクセサリーまで、心からよいと感じたものを気負いなく紹介。

山口和宏の長方くるみトレイ(小・約21×15×3cm)1万450円〜。

「器を買うならまずここ」(ライター・大和まこさん)、「とてもいい空間。企画展も多く、市川孝さんの茶器を購入しました」(宮下さん)

洋白と真鍮のオリジナルカトラリー2,200円〜。

と、訪れた人を次々に魅了している。

古い倉庫を改装。「2階にある展示室“分室カスタド”もよい空間です」(宮下さん)

●京都市下京区燈籠町589・1 
TEL.075・352・2428
営業時間:12時〜17時 日・月曜休、不定休
地下鉄四条駅から徒歩5分。

| 京都市役所前 |ANTIQUEbelle(アンティークベル)

「好きなものを集めたら統一感が出る」の精神で。

照明、家具も豊富。

「京都はいいものがたくさんあった街」と話すのは、京都をはじめ全国から骨太で美しい骨董を集める店主の前田隆汎さん。

市松模様が美しい、深川製磁 蓋茶碗 各3,000円。江戸中期 伊万里 蕎麦猪口 一客1万3000円〜。

2002年の開店から一貫して「気軽に骨董を楽しんで」という心地よい距離感で、価格も手頃。

昭和初期 塗り盆5,000円。上にのせた豆皿は、右から時計回りに、幕末 高取2,000円、明治期 瀬戸2,000円、幕末 伊万里4,000円、江戸後期 伊万里4,000円。

「なます皿、ガラスの器を購入しました」(料理研究家・井原裕子さん)

町家を改装。

●京都市中京区姉小路通御幸町東入丸屋町334 
TEL.075・212・7668 
営業時間:12時〜18時 無休 
地下鉄京都市役所前駅から徒歩5分。

『クロワッサン』1089号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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