くらし

京都通が薦める、【京中華】の厳選3軒。

いま話題の京中華の良店を、京の店を知り尽くす食通が推薦。
  • 撮影・福森クニヒロ 文・齋藤優子

| 祇園四条 |東華菜館(とうかさいかん)

歴史ある建物で味わう中華。特に春巻きは大好き!
(料理研究家・井原裕子さん)

厳選した牛肉をあえて太めに切って仕上げた青椒牛肉糸3,000円。セロリの食感もいい。

四条大橋の袂でひと際目を引くスパニッシュ・バロック様式の洋館。西洋料理店だった1926(大正15)年築のこの建物を、中国・山東省出身の創業者が譲り受け、1945(昭和20)年に北京料理店として開業した。

創業時から続く五色炒飯950円。

以来、現役で働く日本最古の手動式エレベーターをはじめ、エントランス、家具など多くが竣工時と変わらぬ姿でいまに続く。料理は、筍と豚肉を薄焼き卵で巻き、薄衣をつけて揚げた北京式の炸春捲(ヂァーチュンヂュア)が伝統の一品。

北京式の春巻き、炸春捲1,800円。具は豚肉と筍のみ。下味をつけてから、薄焼き卵で巻いてあるので、醤油などつけず、そのままで。

いわゆる京中華の春巻きとはまた違う食感だ。3代目の料理長、于修徳さんは、こうした創業から続く名物を守りつつ、一方で〝良い食材をシンプルに〞と、牛肉のおいしさを生かすため、あえて細切りにしない青椒牛肉糸を作るなど、進化させている。

日本最古のエレベーターに乗って案内される4階のダイニング。天井や梁も当時のまま。

●京都市下京区四条大橋西詰
TEL.075・221・1147
営業時間:11時30分~21時LO(中休みがある場合も) 無休 予約可

|四条河原町 |芙蓉園(ふようえん)

今日の京中華を築いた元祖の店で、変わらない味。
(フォトグラファー・福森クニヒロさん)

具材は豚ひき肉と玉ねぎだけ。その玉ねぎの甘さがいい、ふわふわの焼売(10個)880円。

京中華の礎を築いた料理人、高華吉氏の一番弟子だった加地賢蔵さんが、1955(昭和30)年に創業した広東料理店。ここの真骨頂は、なんといっても京中華の要ともいえる鶏スープにある。

鶏肉と玉ねぎを鶏スープで煮て、卵でふわふわにとじた、鳳凰蛋880円。ご飯必須。

父の後を継いだ2代目の数男さんが、鮮度のいい鶏ガラをふんだんに使って作り、継ぎ足しながら使っているというスープは、雑味がなく、濃厚。名物の鶏肉入り卵焼き〝鳳凰蛋(ほうおうたん)〞やチャーシュー麺などは、そのスープの旨さが際立つおいしさ。チャーシュー麺の麺も、シュウマイも、すべて数男さんが先代の味を受け継ぎ、手作りしている。

自家製麺を、鶏スープに醤油で味つけしただけというスープと。チャーシュー麺880円。

●京都市下京区市之町240・1 
TEL.075・351・2249
営業時間:12時~13時、13時10分~13時30分(ランチ2部制)、17時30分~20時30分LO 火・水曜休 予約可。

| 祇園新橋 | 竹香(たけか)

祇園に古くから続く、京都らしい広東料理です。
(セレクトショップHAURA経営・佐々木まなびさん)

芸・舞妓さんが食べやすいようひと口サイズに仕上げた、創業時からのすぶた1,100円。

店名は、創業者に縁の深かった芸妓の名。1966(昭和41)年の開業時より芸・舞妓の客が多く、そこから最小限の香辛料で仕上げる香りの穏やかな中華が誕生したという。青磁の皿で供される料理は、ニンニクは最小限に、香りの強い玉ねぎやニラも入らない。

麺を油で炒めていないので、あっさりと食後感がいい、やきそば825円。

名物のすぶたは、豚肉にカリフラワーの組み合わせ。絡める甘酢も、創業以来使っている酸味の穏やかな米酢を、1日煮込んでさらにまろやかにしてから作る徹底ぶり。やきそばの麺は、蒸してから油を使わず素焼きして具材と和えるなどの工夫が、独自の味を生み出している。

海鮮醤で野菜と炒めた豚肉を、レタスに包んで食べる、京中華でおなじみのレタス包1,760円。

●京都市東山区新橋通花見小路西入ル橋本町390
TEL.075・561・1209 
営業時間:17時~20時20分LO 火曜休 予約不可、5名~コース料理予約可。

『クロワッサン』1089号より

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※ 記事中の商品価格は、特に表記がない場合は税込価格です。ただしクロワッサン1043号以前から転載した記事に関しては、本体のみ(税抜き)の価格となります。

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