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温泉療法専門医に聞く、暑い季節の疲れを解消する入浴法。

暑い季節を健康で乗り切る鍵は、睡眠と入浴にあり! 一日を活動的に過ごし、湯船に浸かり、質のいい睡眠をとることで不調知らずの体に。

撮影・黒川ひろみ イラストレーション・小林マキ 文・黒澤 彩

入浴を習慣化すると、こんな効能があるんです!

温泉療法専門医に聞く、暑い季節の疲れを解消する入浴法。

暑い日はシャワーを浴びてさっぱりすればOK!と考えている人も多いかもしれない。

「いやいや、夏でも湯船に浸かるのをおすすめします。外の暑さと冷房による冷えの温度差で自律神経が乱れやすく、疲れやだるさを感じる日も多いでしょう。入浴はとても手軽な疲労回復法です」とは、入浴の効果を研究している医師の早坂信哉さん。

就寝の1時間半前に入浴すると眠りにつきやすくなるというメリットもある。

「さらに長い目で見て、健康長寿にもいいということがわかってきました。毎日入浴する習慣のある人は、そうでない人と比べて要介護状態になるリスクが28%も低いのです。脳卒中、糖尿病などの予防効果も期待できます」

日々の疲れを解消できて、病気予防にもなるといいことずくめ。夏でも毎日、お風呂を楽しもう。

さまざまな入浴法を体調や目的によって変える。

基本的な入浴法は、40度で10分、38度なら20分ほど浸かること。副交感神経のスイッチが入り、脳がリラックスした状態に。

「夏に40度が熱いと感じる場合は、36〜38度のぬる湯に炭酸系入浴剤を入れると、あまり熱さを感じずにしっかり温まりますよ」

この季節特有のだるさを解消したいときには、温冷交代浴もおすすめ。

40度に3分浸かったあとで、水のシャワーを1分浴びる。これを3セット行う。交感神経が適度に刺激され、自律神経が整いやすくなる(心臓病の方は避けてください)。洗面器にお湯や水を張って、手、足など部分的に行うだけでも効果があるという。

「温冷交代浴をするなら、夜ではなく夕方早めがいいでしょう。時間帯によって入浴の意味合いも変わります。たとえば朝なら、どちらかというと交感神経を優位にしたいので41〜42度の熱めの湯に2〜3分浸かるか、シャワーを浴びるだけでもいいと思います」

体を温めて効果的に、浴槽でできるストレッチ。

「お風呂に浸かって体が温まってきたら、肩こりなどの症状に応じてストレッチをしてみては。筋肉がほぐれるので、肩や腕が普段よりも動かしやすいはずです」

下に紹介した3つの動きは肩こり、五十肩に効くストレッチ。入浴してすぐには行わず、肩までしっかり5分ほど浸かってから始めよう。ほかにも、水の抵抗力を利用して腕で水を掻く動きをすればちょっとした筋トレに。

「とはいえ、浴室は狭い上に滑りやすいので、あまり激しい動きはしないように気をつけましょう」

手足の末梢から体の中心に向かってマッサージするのもあり。入浴中に限らず、体を洗いながら、もしくはお風呂上がりなど、好きなタイミングで取り入れて。

(1)浴室の壁に沿って手を上に伸ばす。腕を上げるだけではなく、わき腹からぐっと伸ばすように。座る向き…

(1)浴室の壁に沿って手を上に伸ばす。腕を上げるだけではなく、わき腹からぐっと伸ばすように。座る向きを変えて左右それぞれ行う。

温泉療法専門医に聞く、暑い季節の疲れを解消する入浴法。

(2)肘を曲げて、肩を回すストレッチ。肘で円を描くように、ゆっくりと大きく回す。途中で回す方向を変えて、左右順番に行う。

温泉療法専門医に聞く、暑い季節の疲れを解消する入浴法。

(3)手を前方で組んで頭を下げ、腕をゆっくり前に伸ばしつつ、背骨も軽く伸ばすイメージ。無理をせず、気持ちいいと感じるくらいに。

時間と空間を活かして、 マインドフルネスを実践。

お風呂は裸で1人になれる空間。その特殊性を活かして、あえて何もしない、頭を空っぽにする時間を過ごすこともできる。

「マインドフルネスなど瞑想をすると、温浴効果と相まって副交感神経が優位になります。強制的にスマホから離れられるのもメリットといえるでしょう。自宅のお風呂だからこそできるリラックス法ではないでしょうか」

目を瞑って深呼吸を繰り返し、呼吸に集中していくと、深いリラックス状態に入りやすい。

「また、好きな香りは体にとって必要なものだといわれているので、香りも楽しみましょう。アロマオイルを洗面器のお湯に数滴垂らしてもいいし、生花を浴室内に置けば蒸気で香りが広がります」

  • 早坂信哉

    早坂信哉 さん (はやさか・しんや)

    温泉療法専門医

    入浴、温泉、サウナなどの温熱浴の医学的な研究、診療を20年以上続ける。著書『おうち時間を快適に過ごす 入浴は究極の疲労回復術』(山と溪谷社)ほか。

『クロワッサン』1073号より

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