掃除機がけや床掃除をしながら太腿とお尻の筋肉を鍛える。
転倒防止や骨を鍛える効果も。
文・吉田真帆 撮影・鈴木江実子 イラストレーション・松元まり子 モデル・寿々ともみ
<家事をしながら>太腿やお尻の筋肉をしっかり使う
【ながらフロントランジ】
[目標]
左右5回ずつ 3秒キープ 掃除のたびに
床用ワイパーや掃除機をかけるときに行い、下半身を総合的に鍛えます。
股関節にも適度な刺激がかかり、骨密度のアップにも期待できます。
大股で踏み込んでモップがけ
モップがけのときに大股で一歩を踏み出し、腰を落としてぐっと踏み込む。反対の足も同様にする。
●POINT
フロントランジは大股で踏み出すのがポイント。ただし、踏み出しすぎてバランスをくずすと転倒につながるので、ほどよい加減で行ってください。
【ベーシックフロントランジ】
基本のフロントランジのやり方です。太腿やお尻、ふくらはぎなど、
多くの筋肉を動かすことができる、とても有効な運動です。
(1)足を肩幅程度に開いてまっすぐに立ち、両手を腰に当てる。
(2)大きくゆっくり一歩を踏み出す。腰から上を垂直に下げ、できるだけ前へ。
(3)踏み出した足を戻し、腰から上を垂直に上げ、基本の姿勢に戻る。
(4)反対側の足も同様に大きく踏み出し、戻る。これを繰り返す。
骨折しやすい部位
(1)背中と腰
重い荷物を持ち上げたり、転んで尻もちをついたりしたときに骨折しやすい。背骨の圧迫骨折(いつの間にか骨折)も。60代後半以降に多い。
(2)足の付け根
尻もちをついたときなどに骨折しやすい。70代以降に多い。骨折すると歩行困難などから寝たきりや要介護生活になってしまうきっかけにも。
(3)腕の付け根
転んで手をついたときや、ぶつけたときに骨折しやすい。骨粗しょう症の検査を受けておけば、日常生活でも注意できる。
(4)手首
転んで手をついた瞬間に骨折しやすい部位の代表。50〜60代と、比較的若い時期にも多い骨折なので要注意。
筋肉を鍛えることで体を支えて転倒防止。
骨折しにくい体を維持するためには、筋肉トレーニングも大切です。理由は、筋力は体を支える力だから。転びそうになったとき、ぐっと踏ん張って体を支え、バランスをとる動きは、筋肉がないとできません。もしも転んだときに、手をついたり、尻もちをついたときの衝撃をやわらげ、骨を守るのも筋肉です。
筋肉は、使わないと落ちていきます。それには、一度に激しい筋トレをするよりも、ゆるやかな筋トレを毎日続ける方が効果的。ここで紹介するトレーニングは、日常生活のなかで実践できる“ゆる筋トレ”です。ぜひ続けて、転ばない体を作りましょう。
実は筋肉を鍛えることは、骨を鍛えることにもつながります。筋肉は骨の周りにあるため、筋トレで筋肉に負荷をかけると、同時に骨にも負荷がかかり、それが刺激となって骨を丈夫にしていきます。筋肉が骨にシグナルを送っているという研究報告もあり、骨と筋肉は密接に関連していることがわかっています。
骨粗しょう症になると背骨も骨折しやすくなります。「いつの間にか骨折」といい、圧迫によって知らない間に折れていることが多いのも怖い。骨折というとポキッと折れるイメージですが、丸くて小さな背骨のパーツが、体重の重みでじわじわとつぶれてしまうのです。
背骨は、背筋で支えられています。そのため、背筋のトレーニングで背骨も刺激されます。背骨の骨代謝が促進され、骨密度がアップし、いつの間にか骨折予防にも。筋トレは骨トレでもあるのです。
『Dr.クロワッサン 何歳からでも骨は強くなる』(2020年3月28日発行)より。
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