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床の拭き掃除のついでに背筋力をつけ正しい姿勢を手に入れる筋トレ。

家事をしながらでもできるから、生活のなかで続けやすい簡単筋トレを紹介します。
転倒防止や骨を鍛える効果も。

文・吉田真帆 撮影・鈴木江実子 イラストレーション・松元まり子 モデル・寿々ともみ

<家事をしながら>背筋力をつけて、正しい姿勢を手に入れる

【床拭き腕上げ】

[目標]
1セット×左右5回ずつ 掃除のたびに

床の拭き掃除のついでに行える背筋のトレーニング。
大きな筋肉を動かすので、運動不足解消にもなります。

床の拭き掃除のついでに背筋力をつけ正しい姿勢を手に入れる筋トレ。

手と膝をついて片腕を上げる
膝をついて手で床を拭く動きから、伸ばした腕を思い切り前に伸ばす。視線も前へ。反対側の腕も同様の動きをする。

【ミニ背筋】

[目標]
1セット×10回 1日3セット

丸めたタオルに体を乗せ、タオルの高さを利用して背筋を鍛えます。
姿勢がよくなり、腰痛や肩こりの対策にもなります。

床の拭き掃除のついでに背筋力をつけ正しい姿勢を手に入れる筋トレ。

(1)うつぶせになってタオルをはさむ
うつぶせになり、丸めたバスタオルをみぞおちの下にはさみ込む。顔は下へ向け、手は顔の脇に添える。

(2)上半身を起こす
背筋を使って上半身を起こす。あごと床の距離が10cm程度になる姿勢を5秒キープする。あごの上げすぎに注意。

●POINT
背中はまっすぐのまま。負担がかかるので反らさないように気をつけて。

骨折しやすい部位

床の拭き掃除のついでに背筋力をつけ正しい姿勢を手に入れる筋トレ。

(1)背中と腰
重い荷物を持ち上げたり、転んで尻もちをついたりしたときに骨折しやすい。背骨の圧迫骨折(いつの間にか骨折)も。60代後半以降に多い。

(2)足の付け根
尻もちをついたときなどに骨折しやすい。70代以降に多い。骨折すると歩行困難などから寝たきりや要介護生活になってしまうきっかけにも。

(3)腕の付け根
転んで手をついたときや、ぶつけたときに骨折しやすい。骨粗しょう症の検査を受けておけば、日常生活でも注意できる。

(4)手首
転んで手をついた瞬間に骨折しやすい部位の代表。50〜60代と、比較的若い時期にも多い骨折なので要注意。

筋肉を鍛えることで体を支えて転倒防止。

骨折しにくい体を維持するためには、筋肉トレーニングも大切です。理由は、筋力は体を支える力だから。転びそうになったとき、ぐっと踏ん張って体を支え、バランスをとる動きは、筋肉がないとできません。もしも転んだときに、手をついたり、尻もちをついたときの衝撃をやわらげ、骨を守るのも筋肉です。

筋肉は、使わないと落ちていきます。それには、一度に激しい筋トレをするよりも、ゆるやかな筋トレを毎日続ける方が効果的。ここで紹介するトレーニングは、日常生活のなかで実践できる“ゆる筋トレ”です。ぜひ続けて、転ばない体を作りましょう。

実は筋肉を鍛えることは、骨を鍛えることにもつながります。筋肉は骨の周りにあるため、筋トレで筋肉に負荷をかけると、同時に骨にも負荷がかかり、それが刺激となって骨を丈夫にしていきます。筋肉が骨にシグナルを送っているという研究報告もあり、骨と筋肉は密接に関連していることがわかっています。

骨粗しょう症になると背骨も骨折しやすくなります。「いつの間にか骨折」といい、圧迫によって知らない間に折れていることが多いのも怖い。骨折というとポキッと折れるイメージですが、丸くて小さな背骨のパーツが、体重の重みでじわじわとつぶれてしまうのです。

背骨は、背筋で支えられています。そのため、背筋のトレーニングで背骨も刺激されます。背骨の骨代謝が促進され、骨密度がアップし、いつの間にか骨折予防にも。筋トレは骨トレでもあるのです。

  • 加藤木丈英

    教えてくれたのは

    加藤木丈英 さん (かとうぎ・たけひで)

    理学療法士

    聖隷佐倉市民病院リハビリテーション室係長。骨粗鬆症マネージャー。病院でのリハビリ指導に加え、骨粗しょう症予防の啓蒙にも力を尽くしている。骨粗しょう症対応での多職種協業の質向上にも取り組んでいる。

『Dr.クロワッサン 何歳からでも骨は強くなる』(2020年3月28日発行)より。

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