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【山田ルイ53世のお悩み相談】不登校の息子に心情の変化を期待します。

お笑いコンビ髭男爵のツッコミ担当で、作家としても活動中の山田ルイ53世さんが読者のお悩みに答える連載。今回は不登校のお子さんに感謝の気持ちを持って欲しいと願う女性からの相談です。

撮影・中島慶子

<お悩み>

中高一貫の男子校に通っている息子がいます。不登校です。山田さんの著書を読ませていただきました。日々暴言を吐く息子にとって、私たちはただただ鬱陶しいだけの存在なのでしょう。いつか先生や友達、私たちの心配している気持ちに気づいてくれるのでしょうか?自分はみんなに生かされているのだという感謝の心を持てるようになる日がくるのかと心配です。思春期であることは十分承知しています。息子の心の中に他者への感謝がないことに愕然とする日々です。感謝の気持ちを持つ子になってほしいです。育て方が悪かったのでしょうか。

(こぐま/女性/専業主婦)

山田ルイ53世さんの回答

「自分は周りに生かされているのだという感謝の心が全くない」と不登校の息子さんに頭を抱えるこぐまさん。
限られた文面からは、細かなご家庭の内情までは分かりかねますので、無責任に何か口にするのは憚られますが、「暴言を吐く」という息子さんと日々対峙する心労は、重々お察しします。
その上で、筆者が気掛かりなのは、むしろ相談者の方。
「私達が心配していることに気付いて!」と切に願っておられる割には、お子さんの気持ちとなると“思春期だから”と途端にザックリとした捉え方をされているからです。

いや、様々なアプローチを試した末のこのお便りだとは思うのですが、不登校や引きこもりのキッカケ、原因は人それぞれ。
(もし、まだ足を運んでないなら、ご自身のことも含め)心療内科やカウンセリングなど、専門家の意見を仰ぐというのも良いのではないでしょうか。

差し当たって、「育て方が悪かった」という物言いは拙いかもしれません。
これほど、子供にとって残酷な台詞はないと思うからです。
相談者としては、自分自身を責めているつもりかもしれませんが、息子さんにとっては、これまでの全人生を否定されているのと同じこと。
たとえ口にせずとも、お子さんには伝わってしまうでしょう。
そういう意味では、息子さんは「親の気持ちに気付いている」のかもしれない。
いや、あくまで筆者の勝手な想像。
「そういうこともある」くらいに受け止めていただければ幸いです。
いずれにせよ、親に率先して後悔されたりしては、子供も堪ったもんじゃないのです。

山田ルイ53世●お笑いコンビ、髭男爵のツッコミ担当。本名、山田順三。幼い頃から秀才で兵庫県の名門中学に進学するも、引きこもりとなり、大検合格を経て愛媛大学に進学。その後中退し、芸人へ。著書に『ヒキコモリ漂流記』(マガジンハウス)、『一発屋芸人列伝』(新潮社)、近著に『一発屋芸人の不本意な日常』(朝日新聞出版)。
 公式ブログ

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