山﨑家にある2つの大きな食器棚は、テーブルを取り囲むような形で、ダイニングスペースに置かれている。
「動線や使い勝手を考えるなら、台所に置いたほうが便利なんでしょうね。でも、私は好きな器をいつも眺めていたいので。もうひとつの理由は、“食”を家族の生活の中心に据えたかったから。食まわりのものを、台所だけに閉じ込めたくなかったんです」
食器棚の中は、器の置き場所をざっくりと決めておくだけ。毎日、家族の誰かが交代でしまうので、少しずつ位置が変わっているのが日常だ。家族みんなが、それぞれの流儀で、器と共に日々を過ごしている。
「食事の最中に、子どもが『ポテトサラダ、前はあのお皿に入ってたけど、今日はこのお皿なんだね』なんて言ってきたりします。ギャラリーにも家族全員で行きますよ。器そのものより、家族と一緒に買ったり使ったりすることが、私には大事なんです」