歌謡界を席捲する、平均年齢38際のコーラスグループ「純烈」。端正な立ち姿に艶のある歌声。「夢は紅白、親孝行」を合言葉にスーパー銭湯の大広間でムード歌謡を歌い踊る彼らに、マダムたちが熱狂している。ファンの中心は50〜60代の女性。撮影会などでファンと頻繁に接するメンバーも、熟女パワーを肌身に感じているそう。
「ファンのおば…いえ、お姉さま方は肉食系(笑)。撮影会でハグをする時も次第に大胆になって、こちらが恥じらうほど。家を出る時から決めているみたいですよ、今日はこうしてもらおうって。ファンレターも情熱的。巻物のような長い手紙や、万が一のため僕宛ての”遺書”を家族に託した方もいましたね」(白川裕二郎さん)
熟女たちは彼らに少女のように思いを寄せ、心ときめかせる。実際ライブ前の化粧室は、彼らに会う前にメイク直しにいそしむ女性で超満員に!そんな健気な年上女性に対し、5人は「かわいいよね」と口を揃える。
「そんなふうに内面が乙女な方は、年齢に関係なく異性として見えます。僕のファンは恋人みたいに拗ねてみせたりするし(笑)」(友井雄亮さん)
勢いあまって、時には嫉妬の炎を燃やすファンも多いとか。
「『握手してくれなかった!』って真っ赤になって怒るんです。先日はテレビの合コン企画で、僕が若い参加者と話すのを見た80代のマダムが激怒。他の女性も『若い子が好きなら、もうファンやめる。友井くんの携帯ストラップも外す!』って。その時は面倒見がいいリーダーの酒井さんが、『夫も子どももあるにゃろ、何を取り乱してんねん』とファンに愛のムチ。結局『考えを改めました』って戻ってこられました(笑)。ほんと”女子”なんですよね」(友井さん)
今年で結成10年目。でも彼らは最初から”スーパー銭湯の王子様”だったわけではない。実は5人中4人が戦隊ヒーロー出身。結成時のファンは戦隊モノのマニアや若いママたち。
「でもムード歌謡を歌うとなったら皆離れていった。『話題たちのヒーローが演歌なんて、とてもじゃないけど応援できない』って。そんな時、声をかけてくれたのがスーパー銭湯。そこでお客さんたちの目に留まって、少しずつ輪が広がって。今のファンは、そこから一緒に『順列』という屋号を育ててきた、まさに同志です」(酒井一圭さん)
その熱意に応えようと、小さな舞台も全力で演じてきた。ライブ中客席を握手して回る順列名物のパフォーマンスもその誠実さから生まれたもの。
「当初、大半のお客さんは僕らと話したくても、遠くから観ているだけだったんです。これでは一部の積極的な人だけが得をする。だから皆さんに平等に楽しんでもらえるよう、こちらから進んで一人一人に声をかけるようになった。それがファンとの距離が近い、今の順列のスタイルにつながっているんです」(小田井涼平さん)
ファンと密に接するうち、いつしかメンバー自身も年上女性の魅力に目覚めてしまったとか…!?
「はい。もう熟女にしか興味ありません!純烈のリーダーというこの激務を癒せるのは、熟女しかいない。皆さんいろいろ経験されているぶん、温もりさえあれば言葉がなくてもわかってくれるんです。実際撮影会でハグする時も、むしろ僕がパワーをもらっていますよ」(酒井さん)
最年少30歳の後上翔太さんから見ても、熟女には同世代にない魅力がある。
「同年代の女性たちは流行や世間体を気にする子が多いけど、僕らが接する熟女の皆さんは生き方上手、楽しみ方上手。自分の好きなことに感情を解き放って、本当にいきいきしている。舞台から『怒ってるわ〜、あの人』と見ていたら、次の瞬間笑顔で踊ってる(笑)。全方位的に全力なんです」
振り付け担当の友井さんもその言葉に深くうなずく。
「皆で一緒に踊れるような振り付けを心がけているけど、年齢が上の人ほど楽しそうに踊ってくれるよね」
熟女たちに支えられ、いまや人気は全国区。夢だった紅白も、もはや射程圏内。でもどれだけ成長してもスーパー銭湯は卒業しないと決めている。
「紅白に出たその足でスーパー銭湯に凱旋するのが夢です」(白川さん)
ファンとの絆も変わることはない。
「お互いの寿命まで、きっちり面倒見ますよ!(笑)。もう家族同然ですから。ライブ未体験の方にも気軽に足を運んで、元気になっていただきたいですね。『クロワッサン見ました』って声かけてくれたら、特典として全員で思いっきり抱きしめます!」(酒井さん)