肉が柔らかくなり、うまみが増す「ゆる粕みそ」の作り方。
撮影・三東サイ スタイリング・荻野玲子 文・黒澤 彩 撮影協力・UTUWA
酒粕をほぐして水で溶いた「ゆる粕」は、栗山真由美さんが太鼓判を押す漬け床のひとつ。酒粕といえば、粕汁や魚の粕漬けなどをイメージするが、ゆる粕はその名のとおりゆるいペースト状。魚はもちろん肉や野菜の下味にも仕上げにも用いることができ、毎日使える万能調味料だ。漬け床としても素材になじませやすく、少量の酒粕で充分深い味わいになる。
「ゆる粕に肉を漬けると、臭みが抑えられてうま味が増し、しっとりと柔らかくなります。それに、ゆる粕にかぎらず漬け肉レシピ全般に言えることですが、うま味や香りが増す分、塩や調味料をあまり足さなくても満足感のある味に仕上がり、結果的に減塩になるんですよ」
また、酒粕には防腐効果があり、ゆる粕みそに漬けた肉はお弁当にも活躍する。この漬け床自体も冷蔵庫で2週間ほど日持ちするので、たくさん作って保存してもいいし、その都度、使う分だけ作っても。
「今回のように味噌を加えると和の風味になり、コクが出ます。ゆる粕は和洋中どんな料理にも合うので、好みのハーブやスパイスを加えてアレンジしてみてください」
ただし、微量とはいえアルコールが含まれるので、子どもや妊娠中の人がいる家庭では注意が必要。
ゆる粕みそのつくり方
材料(作りやすい分量)酒粕50g 水60~80㎖ 味噌大さじ1
作り方 ①酒粕をちぎってボウルに入れ、水を加えて15分ほどおく。②酒粕がふやけてきたら、泡立て器で滑らかに混ぜる。③味噌を加え、混ぜる。
豚のゆる粕みそ焼き
手間も味付けも不要で、あっというまに主菜が完成! 一晩じっくり漬けるとうま味が増す。肉を漬けた状態で5日間冷蔵保存可能。
材料(2人分) ゆる粕みそ(上で作った分量) 豚肩ロース(ステーキ・ソテー用)2枚 塩、こしょう各少々 キャベツの千切り、プチトマト各適量
作り方 ①豚肉は筋を切り、塩・こしょうをふる。容器にゆる粕みそと共に入れ、まんべんなくまぶす。30分~一晩漬ける。② ①の豚肉のゆる粕みそをぬぐいながら取り出し、広げたホイルに1枚のせ、上下、左右の順にホイルの口を閉じる。もう1枚の豚肉も同様に包む。③予熱した魚焼きグリルに②を入れ、強火で6分焼く(両面グリルの場合。片面なら8~10分)。ホイルの口を開いて2分加熱し、こんがりと色がついたら取り出す。食べやすく切って器に盛り、キャベツ、プチトマトを添える。
鶏胸肉と野菜のゆる粕炒め
ゆる粕により自然なとろみがつき、炒めたときに具材がまとまりやすい。漬けるときは、ナスの色が移らないように肉と野菜を少し離して。
材料(2人分) ゆる粕みそ(上で作った分量) 鶏胸肉(皮なし)150g ししとう6本 ナス2本 ごま油大さじ1 塩、こしょう各少々
作り方 ①鶏肉は食べやすい大きさに切り、塩・こしょうをふる。ししとうは竹串で数カ所穴を開ける。ナスはヘタを切り、縦半分に切ってから2㎝幅に切り、水にさらす。②容器にゆる粕みそと水気をふいた①を混ぜ、まんべんなくまぶす。15~30分漬ける。③フライパンにごま油を熱し、鶏肉のゆる粕みそをぬぐって並べる。軽く焼いて裏返し、野菜もゆる粕みそをぬぐってフライパンに加え、水大さじ1をまわしかけて蓋をし、弱火で3分ほど蒸し焼きにする。蓋を取りフライパンを揺すって全体を混ぜ、とろりとしたら器に盛る。
『クロワッサン』950号より
●栗山真由美さん 料理家/栄養士の資格を持ち、素材の持ち味を生かした体にやさしいレシピを提案。著書に『ゆる粕レシピ』(池田書店)など。
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