ストレス対策、まずは本質を知ることから。
心ざわつく今だからこそ、正しい理解から始めましょう。
イラストレーション・柿崎サラ 文・長谷川未緒
ストレスに強い人、弱い人その違いはどこにある?
同じような出来事でも、ストレスを感じる度合いは人それぞれだ。
「全般的に体力のある人のほうがストレスのかかる状況に強い傾向が。体力と気力はイコールなので、逆に体力がない人は、疲れやすくてイライラしてしまうなど、気持ちがマイナスに傾きがちです」
性格的にもストレスを感じやすい人には特徴がある。
「周囲の人に気を使う、まじめで勤勉な人は、人目を気にしすぎたり、自分が設定したパーフェクトラインまでやらないと気が済まなかったりするため、過度な不安に陥りやすい。物事を気楽に捉える楽観的な人や、人は人、自分は自分というようにマイペースを保てる人のほうが、ストレス耐性は高いといえるでしょう」
がんばりすぎてしまうその前に、ストレスサインを見逃すな!
ストレスを感じているのにがんばり続けてしまわないよう、心身から発せられるシグナルには早めに気づくことが大切だ。
「影響が出やすいのは自律神経です。自律神経はアクティブモードの交感神経と、リラックスモードの副交感神経がバランスを取りながら働いていますが、ストレスを受けると交感神経が過剰に働き、イライラする、寝ても疲れが取れない、胃腸不良になる等の不調が起こります。長引くと、メンタル不調や、免疫力低下による発病、持病の悪化といった深刻な事態に」
上記のような症状が2週間以上続く場合には、専門家に相談を。
心身に現れる次のような症状に気をつけよう。
●過食
脳は不安や悩みで疲れるとブドウ糖を欲し、食べると疲れが癒えて、ほっとする。これが行きすぎると、やけ食いやどか食いにつながり、摂食障害に至ることも。
●睡眠の乱れ
神経が高ぶり緊張しているため、ベッドに入ってもなかなか寝つけない、寝ても途中で何度も起きてしまう、いつもより早く目が覚めてしまうなど、睡眠に影響が出る。
●嗜好品の量が増える
適量ならストレス発散に役立つカフェインやアルコール。しかし、コーヒーやタバコ、酒などの嗜好品を口にする頻度が異常に増えたら、依存が始まっているかもしれない。
●便秘・下痢
自律神経のバランスが崩れることで腸の働きが悪くなり、便意の異常を引き起こす。便秘や下痢が続いたり、交互にくり返すなどして悪化すると、過敏性腸症候群になる危険も。
●肌荒れ
ストレスによって男性ホルモンの分泌が増加し皮脂量が増え、ベタベタしたり、ニキビができたり。自律神経の乱れからターンオーバーも滞り、健康な肌を保てなくなる。
●感情不安定
感情のコントロールが難しくなり、ちょっとしたことではしゃいだり、落ち込んだりと、アップダウンが激しく、情緒不安定になる。わけもなく涙が出るときは抱えている負担大。
幸せにはほどよいストレスも必要。うまくつき合って充実した人生に。
ストレスを受けたら持ち越さずに解消を。それには次のことを心がけるといい。
「よく休息(rest)して疲れを取り、次に気分転換(relaxation)、遊び(recreation)は最後です。この順番にケアすることで、ストレスをためずに済みます」
人と比べず、自分の心と体をよく観察することも大切だ。
「あの人はできるのに、などと考えず、今の自分を受け入れて、疲れたらがんばりをゆるめてラクに生きましょう。また、私たちの心身は恒常性があるとはいえ、まったく刺激も変化もないのは退屈です。疲れを残さない程度に、好奇心や向上心などから生まれるストレスを楽しむことも、実り豊かな人生には大切だと思います」
ストレスサインに気づいたら、3つのRで早めの対処を。
【3R】
● Rest
疲れた脳と体を休めるために、充分な休養を。まずはよく寝ることだが、時間だけではなく質にも目を向けて。そして栄養バランスのとれた食事をすることで、心身が整ってくる。
● Relaxation
心と体がほぐれるようなことをして、リラックス。アロマセラピーや音楽鑑賞、マッサージ、温泉に浸かるなど、くつろいで気分転換できれば、意欲や気力が湧いてくる。
● Recreation
旅行やスポーツなど、日常から離れて夢中になれることに取り組んで。能動的に体を動かしつつ、心から楽しむことで、脳も体も活性化し効果的なストレス解消になる。
『クロワッサン』1020号より
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