くらし

虎、海老、鶴、カニ…縁起のいい動物大集合!│金井真紀「きょろきょろMUSEUM」

本屋さんで「お、この感じのいいブックデザインはきっと…」と手を伸ばす。奥付を見ると、果たして好きな装丁家の名前が載っている。ドキュメンタリー番組を見ていて「む、この圧倒的な映像はもしや…」と気になってエンドロールを目で追うと、果たして腕利きのカメラマンの名が流れてくる。そういう時、「フフン、やっぱりね」という小さな優越感が胸をよぎる。通のわたしには、わかっちゃうんですよ、フフフン。

このたび五島美術館で、わたしはひとりの書家の名を知った。宇野雪村。明治から平成まで生きた前衛書道の巨匠らしい。今回、この人の作品を見たわけではないのに、そのお名前をすっかり覚えてしまった。

動物が出てくる絵画や工芸品が並ぶ展覧会で、わたしと編集担当M氏が「お、これはいいですねぇ」「わー、欲しい!」と騒ぐものはことごとく「宇野雪村コレクション」なのだった。そのうち「これも宇野さんか?」「やっぱり! 宇野さんの好みだと思ったよ」なーんて、すっかり通ぶってコレクターの名を連呼するわたしたち。あとで知ったのだが、宇野雪村さんは文房四宝(筆、墨、硯、紙)や古美術品の収集家としても有名で、『文房古玩事典』なんて著作もある。

そもそも五島美術館は鉄道王・五島慶太氏のコレクションから成り立っている。作り手がいて、収集家がいて、そのコレクションをきちんと保管する人がいる。この三者に敬意を払って…わたしは美術品を見て騒ぐ係。えへへ。

『夏の優品展―動物のかたち―』
五島美術館(東京都世田谷区上野毛3-9-25)にて8月4日まで開催。古代から近代までの絵画や工芸で吉祥の象徴として表現された愛らしい鳥やほのぼのとした馬や牛、水辺の生き物などの作品を約50点展示。TEL.03-5770-8600 10時〜17時 月曜休館 一般・1,000円

金井真紀(かない・まき)●文筆家、イラストレーター。最新刊『虫ぎらいはなおるかな?』(理論社)が発売中。

『クロワッサン』1002号より

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