くらし

ラジオに勉強させられる日々で思うこと。│しまおまほ「マイリトルラジオ」

毎年審査員を務める「日本民間放送連盟賞 番組部門 九州・沖縄地区」。今年も審査会の会場である博多へ行く日が迫ってきた。

年によって担当する部門が変わる。今年は「ラジオ報道番組」。九州・沖縄の各ラジオ局が昨年度放送した報道番組の中で自信の一本を提出する。わたしたち審査員はその中から最優秀賞を選出し「全国審査」へと送り出す。今年の審査は6作品。戦争、災害、差別、医療。資料を眺めながら送られてきた番組を聴く日が続く。

その場のノリだけで生きているわたしが、毎日のように社会問題と向き合うことになるなんて。とても貴重で濃厚な時間だった。

沖縄はラジオ文化が発達していて、毎年どの部門でも上位につけている。社会問題から歴史、文化までテーマも豊富。市井の人々も話術に長けていて、語り部が多い。今年も聴きごたえ十分。しかし、一方で喋ることに慣れていない人でも、渦中の人が言葉を絞り出しながら話す本音、証言には息を飲むものがある。たどたどしさの中に真実が隠されている。マニュアル通りに話す人の登場でコントラストがつく。言わされているのか、本人の意思なのか…。

「音」だけでなく「間」に流れる空気感でドキドキさせられるから、面白い。

またラジオに勉強させてもらったな、という思い。そして、ラジオのおかげで博多のラーメンとぜんざいが食べられるという…。

もちろん、ちゃんと仕事をしてから。よだれを拭いて…さて、苦悩の順位付けにとりかかるとするか。

しまお・まほ●エッセイスト、漫画家。1997年『女子高生ゴリコ』でデビュー。著書に『マイ・リトル・世田谷』。

『クロワッサン』1001号より

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