主に暮らしまわりのものや人をテーマに、全国各地を飛び回り取材をしている一田憲子さん。
「仕事柄、いろいろなものに出合うことが多く、つい買ってしまうんです。作り手を取材すると、その人の思いにも触れるのでなおさらですね」
そうやって少しずつ集めてきた器や道具が、古い白い食器棚や台所の棚に並んでいる。
「30代の頃は作家ものの器にこだわって、一生懸命買い集めていました。でも40代になってから、そればかりだと息苦しく感じるようになってきて。『あの作家の作品だから』という理由で買うことはやめて、『うちのおかずに合うかな』という視点で選ぶようになりました」
ものが増えすぎると人に譲ったりして定期的に処分しているそう。今残っている、「日々の食事で使う」器や道具は、一田さんが暮らす古い一軒家や、自身の和やかな人柄にしっくりとなじんでいる。