地方の魅力がぎゅっと詰まった東京にあるアンテナショップ、注目の3店。
撮影・黒川ひろみ、大内香織(日本橋とやま館)、文・保手濱奈美
食、文化、芸能など、全国各地の魅力を堪能できるアンテナショップ。
「ひとことでアンテナショップといっても大きくは2タイプあり、ひとつは地方自治体が設立した公的な店舗で、もうひとつは民間が開設した店舗です。特に前者は自治体ならではの幅広いネットワークを味方に、地元の威信をかけて“本当に良いもの”を厳選しようという気概が感じられます」
と、アンテナショップ取材をライフワークとしている中元千恵子さん。現在、都内には37都道府県もの自治体主導のアンテナショップが立ち並ぶ。そのなかでも注目の店舗とは?
「近年オープン、またはリニューアルした大型店。目を引くデザインなど、工夫を凝らした仕掛けが楽しめます」
【茨城】IBARAKI sense
美味しくておしゃれな茨城の名産品が目白押し。
昨年10月に、同じ銀座内で店名を変えてリニューアルオープン。
「以前は、いわゆる物産店という素朴な雰囲気でしたが、そのイメージを覆す、スタイリッシュな店舗に一新。ディスプレイや動線がゆったりとしていて、さながらセレクトショップのようです」
リニューアルを機に、商品のパッケージデザインをよりおしゃれに変えたりと、手みやげにも映えそうなハイセンスな名産品が数多く揃う。もちろん見た目だけではなく、質や味の良さは前提のこと。
「茨城県は『都道府県魅力度ランキング』で6年連続ワースト1位ですが(笑)、実は魅力的な特産物の宝庫。おなじみの納豆をはじめ、メロンの生産量は全国1位。いちごや栗もおいしく、旬の時季に店内に併設されたカフェでパフェを出したら大人気に。また、関東一の酒蔵数を誇り、『常陸野ネストビール』で有名な木内酒造など、地酒の取り扱いも多数あります」
4月下旬からは、待望のメロンの販売がスタート。パフェに試食会にと、賑わうこと必至。
東京都中央区銀座1-2-1 紺屋ビル1F TEL.03-5524-0818 営業時間:ショップ10時30分〜20時 レストラン11時〜23時(日曜・祝日〜21時)
【富山】日本橋とやま館
地元の恵みをその場で楽しく体感できる。
「富山県といえば、富山湾の豊かな漁場で獲れる海の幸。なかでも“定置網”にこだわったホタルイカや、富山湾でしか獲れないといわれるシロエビが有名です。館内の和食レストラン『富山 はま作』では、それらを生で味わえます。特に今が旬のホタルイカは必食。また、館内にはバーラウンジがあり、そこでは地酒の飲み比べが楽しめます」
ほかにも、ます寿しの食べ比べイベントなど、さまざまな形で地元の恵みを館内で体感できる。
「最近はこうした形態のショップが増えていますが、2016年にオープンしたここは、その代表格。長時間滞在したくなる店舗です」
東京都中央区日本橋室町1-2-6 日本橋大栄ビル1F TEL.03-6262-2723 営業時間:ショップ10時30分〜19時30分 和食レストラン11時30分〜14時30分、17時〜22時30分(日曜・祝日〜21時) バーラウンジ11時〜21時
【広島】ひろしまブランドショップTAU
レモンケーキを筆頭に、人気が右肩上がり。
最近、特に勢いを増しているのが、広島のアンテナショップ。
「都内アンテナショップの売り上げトップ2は長らく北海道と沖縄でしたが、そこに昨年、割って入ったのが広島です。きっかけは’17年のリニューアル。生産量日本一のレモンを前面に押し出し、レモンケーキが大ヒット。いろんな店のレモンケーキが個包装で1個から買えるのも、人気の秘密です。また、鮮魚コーナーがあるのは、数多のアンテナショップのなかでも珍しい。15〜17時は、刺し身にするなどの調理もしてくれます」
ほかにも、カープグッズ、熊野筆、お好み焼きのイートインなど楽しめるコンテンツが盛りだくさん。
東京都中央区銀座1-6-10 銀座上一ビルディング TEL.03-5579-9952 営業時間:ショッピングフロア10時30分〜20時(その他、店舗により異なる)
中元千恵子(なかもと・ちえこ)●旅行ライター。長年にわたり旅行記事を雑誌や新聞に寄稿。アンテナショップポータルサイト「風土47」の取材で都内アンテナショップを巡る。
『クロワッサン』995号より
広告