【台湾・北投(ベイトウ)エリア】大自然の迫力と台北一の規模を誇る朝市を満喫する。
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・別府麻衣 コーディネート・KEYWORD
台北市内にある温泉地として有名な北投は、背後に陽明山を望む景勝地でもある。朝時間を賢く使って、それらの名所を散策し、さらに市民が早朝から集う朝市を見学するコースは、歩くほどに発見があるショートトリップだ。
MRT(地下鉄)で新北投駅に到着したら、中山路を目指そう。なだらかな坂を上るうちに硫黄のにおいが立ち込めてくる。「地熱谷」の看板を目印に進むと、北投温泉の源泉のひとつで今も白煙をあげる谷が間近に迫ってくる。
温泉卵を食べたり、モダンな図書館・北投分館のテラスで一息ついたら、今度は朝市へ。なだらかな下りが続く温泉路を直進すると、人々でにぎわう街並みが眼前にあらわれる。路上に並ぶ野菜や果物、屋台の呼び声が響く光景は、台北中心部では味わえないローカルな雰囲気満点だ。北投市場2階の食堂で絶品の朝ごはんを食べたり、かき氷に舌鼓を打つなど楽しんだら、MRT北投駅から台北方面へ。朝早くに出れば、午後早めに戻れるはずだ。
【1】梅庭(メイティン)
台湾を代表する書家の作品と庭園を眺める。
『鼎泰豊(ディンタイフォン)』に掲げられる看板の題字も描いている書家、于右任(ウ・ユウジン)の別荘。1930年代の建物で格子状の天井や木製の窓枠、柱など和風建築を採用。テラスからは整備された美しい庭園も楽しめる。
【2】地熱谷(ディーラーグー)
台湾八勝十二景にも選ばれた常に煙が立ちこめる“地獄谷”。
北投温泉の源泉のひとつで、80~100度の湯が常に湧き出ている。ヒスイを思わせる緑色をした湯の周辺は白煙が立ちこめ、まるで仙境を思わせることから「鬼の湖」とも称される。遊歩道もあるので、散策も可能だ。
【3】小林溫泉玉米(シャオリンウェンチュエンユーミー)
硫黄風味の温泉卵は特製胡椒で味わって。
地熱谷の入り口にある売店。源泉の湯を使った温泉卵は1つ15元。黄身が濃いのが特徴。そのままや塩で食べるのもいいが、店の人から椒鹽(胡椒)を借り、ふりかけて食べると、味わいも台湾風味になるのでおすすめだ。
【4】台北市立圖書館北投分館 (タイペイシーリートゥーシューグァンペイトウフェングァン)
豊かな緑と川の流れに調和する温かみのある木造建築。
“世界で最も美しい図書館”として海外メディアでも上位に選ばれている、地上2階、地下1階の瀟洒な木造建築物。吹き抜けの館内を見学後、テラスに出ると、陽明山をはじめとした連山が望める。
【5】北投朝市 (ペイトウシーチャン)
狭い通りにカラフルな露店と人やバイクが早朝から集う。
色とりどりのパラソルとともに、惣菜や生鮮食料品が並ぶ北投の新市街周辺は、早朝から多くの台北市民でにぎわっている。地面にシートを敷いて採れたての野菜を売っている光景を眺めたり、オレンジをその場でジュースにしてくれる露店もあるので、チェックしたい。
【6】甜古早冰(テェンニョウグーザオビン)
北投市場に隣接するメニュー豊富なかき氷店。
写真の花生雪花冰(60元)は、ピーナッツのペーストと水、ミルクを合わせてかき氷にしたもの。食べると氷だけで素材の甘みが口内に広がる。店先のブースに写真付きメニューが貼ってあるので、指差しでの注文が可能なのもうれしい。
【7】蔡元益(ツァイユェンイー)
散策のお供はジューススタンドで漢方効果もあるお茶を。
仙草茶(小/20元)は、清涼感のあるすっきりした味。看板にも記された紅茶は種類も豊富。どちらもメニューを見て、正常(普通)、無糖、微糖など甘さが選べる。
【8】黄家酸菜滷肉飯 (ホァンジャースァンツァイルーロウファン)
台湾人のソウルフードで朝からパワーをもらいたい。
北投市場(下左写真)の2階にある。名物の酸菜滷肉飯(小/25元)は、煮込んだ豚肉と酸味のある白菜漬けが肉汁のかかったご飯に合う。滋養効果があると台湾女性に人気の豬血湯(豚の血の煮こごりスープ/25元)で朝から元気に。
【9】志明牛肉拉麵 (ズーミンニョウロウラーミェン)
繊細な味わいの白スープを太麺と柔らかい牛肉とともに。
台北市の牛肉麺大会で入賞経験もある人気店。写真の清燉(チンドゥン)牛肉麺(小/140元)は、牛骨だしの透明感あるスープで、まろやかな甘みが広がる。コシのある縮れ麺、煮込んだバラやヒレ肉と三位一体で味わいたい。
*1台湾元=約3.6円(2019年2月22日現在)
『クロワッサン』993号より
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