菓子研究家・福田里香さんが提案、フレッシュな果物、素朴な甘さ、手づくりの味わいが奥深い台湾スイーツ。
撮影・青木和義 コーディネート・青木由香
【東門駅】清淨母語(チンジンムーユー)
酵素や調味料に心躍らせ食から健やかになる。
美味しい果物も、残念ながら生の状態で持ち帰るのは難しい。ならば、上質な加工品をおみやげに。
「台湾の恵みを帰国後も楽しむという意味でここは欠かせない店です。さまざまな果物から作る酵素シロップやドライフルーツなど、味が濃厚で、本当に美味しい」
自社農場での材料栽培はもちろん、発酵食品のために使う甕の素材に至るまで、こだわりぬいた製法で作られた食品がずらり。
「新鮮なピーナツ油や発酵調味料など、美味しくて身体が喜びそうな食材も。時間に余裕を持って立ち寄ることをおすすめします」
【松山駅 】御品元傳統手工元宵(ユーピンユエンチュワントンショウゴンユエンシアオ)饒河店
ふわもち団子とかき氷に甘いキンモクセイの香り。
かき氷の上に熱々の団子が鎮座する名物メニュー。氷と団子の温度の対比、餅と餡の食感の違いなど、味わいが幾重にもなる一皿だ。
「団子の餡はピーナツと黒ゴマの2種類で、甘さは控えめ。そしてバランスをとるようにかき氷にたっぷりかかったシロップは、キンモクセイフレーバーです」
福田さんにとって、そこが大きな楽しみポイントでもある。
「日本ではあまり出合いませんが、キンモクセイのシロップって、香りも華やかで本当に美味しい。台湾に来ると実感します。改めて知ってほしい味」
【東門駅】政江號 (ヂェンジアンハオ)
氷にたっぷりかかった、小豆そのものの豊かな味。
「温冷、甘辛が揃って、なんでも美味しい老舗の軽食屋さんです」
気負いがなく、丁寧な味が人気の店は料理研究家・内田真美さんからの紹介だった。その際、強く推薦されたのが小豆のかき氷。一見、金時かき氷に見えるがさにあらず。小豆を甘く炊いたものとあんこはイコールではない、とわかる豆好き必食の味だ。
「練り上げたあんことは違う、ふっくらした小豆の味が格別です。シンプルなマンゴーかき氷もおすすめなのですが、夏限定。旬にしか出さないところに、誠実さを感じます」
【西門駅】蜂大咖啡(フォンダーカーフェイ)
軽く香ばしい焼き菓子と台湾コーヒーを一杯。
最近気になる台湾コーヒーと、焼き菓子を目的に訪れる店。
「その都度豆を焙煎してくれるので、まずは自宅用に豆を注文し、コーヒーを飲みながら待つんです」
コーヒーの相棒は店頭にずらっと並ぶ自家製の焼き菓子。
「バターではなくラードが使ってあったり、中華菓子のエッセンスが絶妙。食感も様々で、どれも不思議とコーヒーに合う。バラ売りなので何種類も買って帰れます」
【大橋頭駅】你好我好 (ニーハオウォーハオ)
目利きの選んだ品揃えで“外さない”おみやげを。
コーディネーターの青木由香さんが営むセレクトショップには、旅の終わりに寄ることにしている。
「おみやげのドライフルーツを買うならここ。砂糖不使用、食べきりサイズ、気が利いたパッケージ……必ず喜ばれますね。他の商品も台湾と日本をよく知る青木さんが選んだ的確な品揃えで、最終日の買い物の強い味方になります」
福田里香(ふくだ・りか)●菓子研究家。雑誌、書籍と多岐にわたる独自のレシピ提案が人気。初台湾は’98年。近著『R先生のおやつ』(まんが・雲田はるこ)にも台湾訪問の記述が。
*1台湾元=約3.6円(2019年2月22日現在)
『クロワッサン』993号より
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