くらし

【正月準備編】正月を豊かにする、暮らしの風習。

行事が多い正月。煩わしいと感じる前に本来の意味を知り、今の暮らしに適した準備や過ごし方で楽しむ方法を、研究家に聞いた。
  • 撮影・広田行正 文・大澤はつ江
日本の行事・歳時記研究家 広田千悦子さん

「お正月は大きな祭事のひとつ。その根底に流れているのは、神々への感謝と新しい年に良い事があるように、と願う祈りの時なのです。そのための準備が年末の大掃除。お供え物やお飾りは、神様への供物でもあり、その場を整え邪気を払う役目も担っています」
と広田千悦子さん。大掃除は面倒くさい、お飾りは飾る場所がない、とよく聞くが、行う意味を知れば、各家庭に適した方法がある。
「福を司るお正月の神様に、気持ちよくお入りいただくために、玄関をいつもよりちょっとだけ念入りに掃除する。やらなくちゃ、と思うから億劫になってしまう。お飾りも一夜飾りはよくないといわれていますが、31日の大晦日でも、心を込めて行えば私はいいと思います。気持ちが一番大切ですから。風習は時代とともに変化していくもの。暮らしにあったやり方で楽しんで」

[正月前に準備すること]八百万(やおよろず)の神様をお迎えするために、新しい年が明ける前に場を清め、整える。

1. すす払い。

神様がお入りになる玄関。すすを払って清めておく。
「古来より新しい年の始まりに家を訪れるお正月の神様は、玄関などから入ってくると考えられています。ですから玄関のすすを払い、きれいに清めておくことは、神様に気持ちよくお入りいただき、過ごしていただくための大切な準備です。大晦日までには清めておくようにします」
すす払いに適した掃除道具はなんといっても“はたき”。広田さんは古くなった長襦袢などを裂いて作る。
「3cmほどの幅に裂き、2つ折りにして竹の棒に添わせて糸で括り、ひっくり返して糸で結べば出来上がり。素材は絹が重みがあり、パタパタと振ったときに、桟の隅に溜まった埃を確実に捉えて落としてくれます」
玄関は外側からはじめ内側へ。上から下へと隅々まではたき、落ちた埃は箒で掃き出し、ちりとりで処理。

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