数年後、台湾から逃げるように来日した迎梅は、出会い系アプリで知り合った日本人女性、薫と引かれ合うようにもなるが、過去を明かすことですぐに破局。そして、あるトラブルを機に、自分の素性を会社にさらされ、ついに死を決意する。
「初めて日本語で小説を書くにあたり、まるっきり虚構を書くというより、なるべく自分自身から出発したいと思いました。もちろんほとんど脚色していますが……」
表題の“独り舞”に託されたイメージ。暗がりの中で独り踊り続けなければならない孤独や疎外感。それは作者自身のものでもある。
「台湾では戒厳令が解除された’80年代後半くらいから、それまで抑圧されていたものが解放されて、それを“移行型正義”と呼んでいます。そういう空気の中、セクシャル・マイノリティの文学のジャンルが確立されました」