若くて、きれいなのは、こりゃあ自然現象ですからね。それがなくなった時こそ、勝負でしょう――C・Iさん(下着メーカー宣伝部)
1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、年齢を重ねながらファッションを楽しむための心がまえをご紹介します。
文・澁川祐子
若くて、きれいなのは、こりゃあ自然現象ですからね。それがなくなった時こそ、勝負でしょう――C・Iさん(下着メーカー宣伝部)
「体型くずれはエレガンスの条件である。」という、挑戦的なタイトルではじまる巻頭のファッション特集。きっかけは、座談会で「体型に自信がなくなって、着るものがかぎられる」という声が聞こえてきたからだといいます。
それに対し、デザイナーを筆頭にカメラマンや映画評論家など、多方面から続々と反論が寄せられ、体型の変化こそが成熟した女性の豊かさであり、個性だと主張。女性は若いほうがいいとされる日本の風潮に「ノー」を突きつけ、大人の女性ならではのファッションの心がまえを説いています。
流行を鵜呑みにせず、周囲の目に負けず、自分に似合うスタイルや色をみつける。かといって「これしか似合わない」と意固地にならず、常に好奇心を忘れない。そして体型くずれをカバーするためには、背筋を伸ばし、颯爽と歩くこと。
かつてのようにファッションが楽しめないのは結局のところ、体型が変わったからというよりも「どうせ」と思って諦めてしまう気持ちの問題が大きいことを指摘します。だからこそ積極的な気持ちと自信が大切だと語りかけ、締めくくりに掲げられたのがこの言葉です。
若くてきれいなのは当たり前。若さが去ったあとこそ、その人の真のセンスが問われるということ。元気づけられると同時に、背筋が伸びるようなキレのあるひと言です。
※肩書きは雑誌掲載時のものです。
澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。
広告