すぐれた家具が少ない。だから、すぐれた「眼」でえらぶ必要がある――池田三四郎(松本民芸家具創始者) | くらしにいいこと | クロワッサン オンライン
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すぐれた家具が少ない。だから、すぐれた「眼」でえらぶ必要がある――池田三四郎(松本民芸家具創始者)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、民芸家具の先駆者の言葉をお届けします。
  • 文・澁川祐子
1977年5月創刊号「家具を見る眼」より

すぐれた家具が少ない。だから、すぐれた「眼」でえらぶ必要がある――池田三四郎(松本民芸家具創始者)

松本民芸家具といえば、落ち着いた木の味わい、丈夫な造り、飽きのこないデザインに定評があり、現在も多くの愛用者がいます。クロワッサンでは、その創始者である池田三四郎さん(1909 -1999)の連載「家具を見る眼」が創刊号からスタートしました。

松本民芸家具の創業は戦後。長野県の松本は、家具の生産地として300年以上の長い歴史がありましたが、戦火の痛手と時代の変化を受け、和家具の生産は衰退の途をたどっていました。

その頃、松本で復興住宅や建具の製造に携わっていた池田は、暮らしの道具に美があると提唱する柳宗悦の民藝運動と出合います。その思想に感銘を受け、池田は職人の高度な技術を生かし、時代にあわせた洋家具をつくりはじめました。そして誕生したのが松本民芸家具です。

それから約30年後の創刊当時、椅子とテーブルの暮らしはごく当たり前になっていました。しかし日本人にとって、家具は生活必需品でありながら、<比較的に突込みの浅い認識しか持っていないというのが普通>だと語ります。ただ、17世紀頃から家具を家の財産の一部として遺産相続の目録に載せていた西洋とくらべれば、それもいたしかたのないことだと池田さんは続けます。

では西洋の家具のように、暮らしを長くともにし、なおかつ時間とともに味わいが増すような家具とはどういうものか。本物を見極めるための「眼」を養おう、という先達の呼びかけはいまなお色褪せていません。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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