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自由な女がいるとしたら「なぜか?」という問いかけの中で生きている人のこと――牧羊子(詩人)

1977年創刊、40年以上の歴史がある雑誌『クロワッサン』のバックナンバーから、いまも心に響く「くらしの名言」をお届けする連載。今回は、女性解放運動のうねりのなかで紡がれた言葉を読み解きます。

文・澁川祐子

自由な女がいるとしたら「なぜか?」という問いかけの中で生きている人のこと――牧羊子(詩人)

1979年5月10日号「新しい女性論の時代」より
1979年5月10日号「新しい女性論の時代」より

〈女がくりごとや哀しみを、ひそやかに語り継いだ長い歴史のあとに、大きな声で自分を語る時代が始まった〉。そんな勇ましい一文から展開される特集記事では、1960年代後半から世界に広がっていった女性解放運動の波を受け、第一線で活躍する女性5人のインタビューを掲載しています。

2週にわたり同記事から名言を紹介したいと思いますが、まずは詩人、エッセイストで、作家・開高健の妻でもあった牧羊子さん(1923-2000)の言葉から。

〈形にとらわれるってことがイヤ〉という牧さんは、先入観のない男女の関係や家庭のありかたが理想だと語ります。先入観や世間の常識から自由でいるためにはどうすればいいか。〈「なぜか?」という問いかけの中で生き〉るという今回の名言が、牧さんなりの答えです。

疑問に思ったことを「みんながやっていることだから」「常識だから」と受け流してしまわずに、立ち止まって自分のなかで「なぜか?」と問う。問い続けるのは、非常にエネルギーを要することです。しかし、それだけのエネルギーを貯えている人はみずみずしく魅力的だろうとも、牧さんは語っています。

昨今では、性被害を告発する「#MeToo」運動など、また新たなフェミニズムの潮流が生まれています。そこで求められるものもやはり、一人ひとりが「なぜか?」と粘り強く問うことではないか。そんな思いから、この言葉をピックアップしました。

※肩書きは雑誌掲載時のものです。

澁川祐子(しぶかわゆうこ)●食や工芸を中心に執筆、編集。著書に『オムライスの秘密 メロンパンの謎』(新潮文庫)、編著に『スリップウェア』(誠文堂新光社)など。

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