高知県東部、標高450mの山あいで暮らす陶芸家の小野哲平さんと布作家の早川ユミさん。眼前に美しい棚田が広がるなかに母屋と仕事場兼工房、2つの焼き物の窯が並ぶ。かの地に住んで20年目を迎えるふたりには、朝の食卓に昨年から加わったパンがある。
それはお隣、徳島県の神山町にある『かまパン&ストア』(以下『かまパン』)のパン。
「僕らと同じように四国に移住してきた若い人たちが、きちんと地元の人と関わりを持ちながらパンを作っているので、応援したくなったんです。食パンやバゲットは毎日食べても飽きないですし、体にも優しい味だと思います」(小野さん)
『かまパン』は、徳島県名西郡神山町で役場と地域住民が一緒になって立ち上げた「フードハブ・プロジェクト」の一環で、昨年3月オープンしたパンの店。〝地産地食〟を方針にパンを介して、地元に長年伝わる食文化や農業を次世代につなげている。