ケチくさいと始末がいいの 境界線について話し合ってみた。[前編]
価値観の違う3人の考える「境界線」とは?
撮影・岡本 潔 文・室田元美
節約のつもりでやっている行動が、ときに他人の目にはケチくさく映ることがある。あなた自身も「これってどうなの?」と迷うことはないだろうか。クロワッサン読者から寄せられたいくつかの質問をもとに、「ケチくさい」と「始末がいい」の違いはどこにあるのか、生活研究家の阿部絢子さん、美容コメンテーターの植村朗子さん、漫画家の大庭聡恵さんの3人にホンネを語ってもらった。
———では、始めましょうか。最初の質問です。「友人の家に遊びに行くと、暖房を控えているのかいつも寒いんです。それってケチくさくないですか?」。節電していて寒い家、暗い家などはどう思いますか?
阿部絢子さん(以下、阿部) 友人でそんな人、いますよ。私はすごく寒がりなので、その人の家で寝るときに「暖房入れて」ってお願いしたのに、入れてくれなかった。もう寒くて、朝、目が覚めたときも顔が冷たかったのよ。
植村朗子さん(以下、植村) わー、寒いのツラい。自分たちが節約するのはエコでいいことだけれど、せめて人を招いたときにはお客さんの希望を聞いてほしいかな。それがおもてなしだと思うの。
大庭聡恵さん(以下、大庭) うちは暖房器具をまったく使わないようにしているので、いつも寒いですよ。電源を入れていないこたつの中に湯たんぽ入れて、一家全員で足を突っ込んで。だけど、みんな平気です。だれも風邪引きませんね。
阿部・植村 うわー。
阿部 寒いときはどうしているの? 重ね着?
大庭 そうですね。上も下もいっぱい着られるだけ重ねて、上からカーディガンとかジャンパーを着こみます。家の中ですが首巻きやニット帽をつけたり。慣れてますから肩も凝りませんよ。
阿部 大庭さんち、行けなーい(笑)。でもそうやって、30年の住宅ローンを7年で全部返したんですよね。すご〜く頑張ったでしょ?
大庭 はい。だけど節約も漫画のネタにするくらい、楽しんでやってました。まだ大学生の子どもが2人、その下に中学生と小学生がいるので当分、この節約生活は続きますね。
阿部 でも、お金があるのに寒い家ってなんのための節約かと思いますね。Tシャツと短パンで過ごせるほどガンガン暖房をかけるのはエネルギーのムダだけど、そこまでがまんしなくても。いまみんな老後の生活が不安なのはわかる。だけど、お金だけじゃなくて、快適に暮らすこととか、いい人間関係とか、大事にすべきものもあるんじゃないかな。
大庭 そうですよね。節約しなきゃならない事情がある家も多いでしょうけど。でも確かに、寒いから人は招かないほうがいいです(笑)。
人を招いたら暖房ケチらない。相手への思いやりよね。(阿部さん)
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