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『年をとるほど愛される女になる方法』著者、伊藤緋紗子さんインタビュー。「愛される鍵はセダクションの能力です。」

いとう・ひさこ●エッセイスト、翻訳家。神奈川県横浜生まれ。上智大学外国語学部、同大学院仏文科修士課程終了。著書に『パリが教えてくれること』ほか多数。NHK文化センターで「パリのことばと文化とエレガンス」の講師を務める。
いとう・ひさこ●エッセイスト、翻訳家。神奈川県横浜生まれ。上智大学外国語学部、同大学院仏文科修士課程終了。著書に『パリが教えてくれること』ほか多数。NHK文化センターで「パリのことばと文化とエレガンス」の講師を務める。

撮影・千田彩子

パリのエレガントなライフスタイルについてのエッセイで定評のある伊藤緋紗子さん。最新作は、「セダクション」という言葉をキーワードに、何歳になっても愛される女性になるためのさまざまな鍵が綴られている。

「女性は若さを失っていくと、自信をなくす人が多いでしょう? でもフランスでは、年齢を重ねてますます魅力が増していく女性がいます。それはセダクションの能力がある人なのではないかと思うのです」

セダクションとは、直訳すると魅惑、魅力だが、相手を自分に惹きつけるテクニックという意味も含まれている。恋愛関係や夫婦間はもちろん、仕事上や友だちとの付き合いにもセダクションが重要なのではないか。伊藤さんが注目したのは、18世紀の皇帝ナポレオンの妻であったジョゼフィーヌだ。

「フランスではマリー・アントワネットより人気があってジョゼフィーヌの生涯についての本がたくさん出ています。10何冊か読みましたが、まさにセダクションが上手な女性であったことがわかりました」

最初の夫の裏切りや投獄、2人の子どもを抱えて愛人生活を余儀なくされるなど波瀾万丈の人生を歩んだジョゼフィーヌ。美人ではなかったが、どんな場面でも笑顔を絶やさず、相手を思いやる心を忘れなかった。

「セダクションは、相手が何を自分に求めているのかをすばやく察知して行動するというのがまずポイントです。何を言ったら、どう行動したら相手は喜ぶのかを常に考えて心を配る。それには自分の心を開くことですね。嫉妬したり、相手のアラを探したりするのではなく、良いところに目を向けるんです」

ジョゼフィーヌはどんな悲惨な状況に置かれても身の回りにあるものを工夫して身綺麗にしていたことも印象的だと伊藤さん。

「服装、メイク、髪型すべてにおいて精いっぱい、美しくあろうという努力もセダクションのひとつです。人はひとりで生きているわけではないのですから、相手の目に映る自分の姿を常に意識したいですね。そして心も清潔な状態にすること。年齢を重ねると、頑固、意地悪といった精神的な垢もつきやすいので意識して浄化することが必要なんです」

本書にはちょっと意識を変えればできるたくさんのセダクションが紹介されている。手元に置いて繰り返し読みたい一冊だ。

河出書房新社 1,400円

河出書房新社 1,400円

『クロワッサン』975号より

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