制約のある環境でも、小島さんの食生活はバラエティに富んでいて、読者を飽きさせることがない。
「日常も旅も、食べることとは切り離せません。アウトドアだからって全部レトルトと割り切るのではなく、自分なりに工夫する。旅の15日目、フリーズドライの卵で作ったオムライスは格別でした。疲れた身体ときれいな景色が一層そう感じさせるんでしょうね」
けれど時には、自然の中での恐怖や不安、気分の浮き沈みに戸惑うこともある。それすらも隠さず綴る、率直な語り口が印象的だ。
「強い雨が雹に変わって、道が見えなくなったときは本当に怖くて。私は自然のことを何もわかってなかったって思い知らされました。体調のせいでイライラしたり、贅沢だけど美しいことに飽きてしまったり、20日間もいればいろんなことがある。でも、晴れより雨のほうが草木がキラキラしてる、なんて思えるようになって、自然と遊ぶのがもっと好きになりました」