捨てられないのは、もしや……「ためこみ症」とは何ですか?
片づけられないのはもしや病気? 「ためこみ症」の症状や治療方法をわかりやすく解説します。
撮影・岩本慶三 文・石飛カノ
Q ためこみ症の治療方法は?
うつ病を併発している人には抗うつ剤などが処方されるが、ためこみ症そのものには薬があまり有効ではないという。そこで、取り入れられているのが認知行動療法と呼ばれる治療法。
「ためこみ症の方は、片づけたり整理をするときに集中して取り組み続けることができません。ほかのものが視野に入ってしまうとそちらに注意を逸らされてしまいます。ですから、ほかのものに布を被せて、5分間でもいいから一点に注意を集中させるようにする。これを毎日やってもらいます」
あるいは協力者を見つけ、一日だけ物を預かってもらう。
「これがなくても生活できることを自覚し、必要になることも起こらないことを体験してもらうために、まずは24時間その物を協力者に預かってもらい、“心配しているようなことが起きましたか?”と尋ねます。2日、3日と預かってもらう期間を長くして、“それ”がなくても生活していけるということを患者さん自身に分かってもらうというやり方もあります」
そのほか、「出したものは元に戻す」「開けたら閉める」「落としたら拾う」「脱いだら掛ける」といったシンプルな文言を書いたメモを目につく場所に貼って、新しい行動を習慣化させる方法も。
「重症度にもよりますが、大事なのは動機です。なんとかしようと本人が思わないかぎり、状況は変わらないかと思います」
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