くらし

グラフィックデザインも見逃せない。たばこと塩の博物館で「モダン東京」を読み解く展覧会が開催中。

「モボ・モガが見たトーキョー ~モノでたどる日本の生活・文化~」展が、とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分の『たばこと塩の博物館』で開催中です。
1932年発売の花王のシャンプー

杉浦非水や横尾忠則などの名作を収録した『日本のグラフィック100年』が今年パイ インターナショナルから刊行され、6月には日比谷図書文化館でも特別展『大正モダーンズ ~大正イマジュリィと東京モダンデザイン~』が開催されるなど、日本の商業デザイン、グラフィックデザインがますます注目を集める昨今。
とうきょうスカイツリーにほど近い『たばこと塩の博物館』では、花王ミュージアム、セイコーミュージアム、東武博物館、郵政博物館、たばこと塩の博物館の5つの企業博物館が所蔵する貴重な資料が公開中です。 

【展覧会概要】
名称  :モボ・モガが見たトーキョー ~モノでたどる日本の生活・文化~
会期  : 2018年4月21日(土)~7月8日(日)
会場  : たばこと塩の博物館 2階特別展示室
所在地 : 東京都墨田区横川 1-16-3(とうきょうスカイツリー駅から徒歩8分)
URL  : https://www.jti.co.jp/Culture/museum/
入館料 : 大人・大学生:100円(50円)/満65歳以上の方(要証明書):50円(20円)
小・中・高校生:50円(20円) ※( )内は20名以上の団体料金
開館時間: 午前10時~午後6時(入館は午後5時30分まで)    休館日 : 月曜日

大正時代にモボ・モガが憧れた銀座の有名店や、昭和初期の旅行ブームを今に伝える東武鉄道のポスター、たばこのパッケージから読み解く戦争など、「時代を映すモノ」を3つのコーナーに分けて展示。

【1】モボ・モガの時代

花王のシャンプー広告(1935年)
1913年発売、国産初のセイコーの腕時計ローレル
最先端の商品を扱い、モボモガの憧れの的だった服部時計店(現・和光)
1927〜35年ごろの東武鉄道のパンフレット
日本のデザイン界のリーダー、杉浦非水がデザインしたたばこのパッケージ
1912年に採用された丸型庇付ポスト

関東大震災(1923年)からの復興により、近代化が進んだ東京にモダンボーイ(モボ)・モダンガール(モガ)と呼ばれる人々が登場。1913年に発売された国産初の腕時計「ローレル」は彼らのファッションアイテムのひとつ。時計だけでなくアクセサリーや洋食器などを扱う銀座の服部時計店(現・和光)はモボ・モガの憧れの地でもありました。
1930年には花王からシャンプーが発売されて日本の洗髪習慣も変貌。実はシャンプーという言葉を日常に定着させたのは花王なのだそう。

大正〜昭和にかけては旅行ブームも起こり、東武鉄道が直通運転を始めたことにより日光を訪れる観光客も急増。ライフスタイルが今の私たちに近づいていった時代でした。

【2】昭和モダンのおわりと戦争の時代

杉浦非水デザインのたばこ、元は金色を使用
最後は一色刷りに

そんなモボ・モガたちも、否応なく戦争に巻き込まれていった暗い時代。消費財のパッケージにもその影は落ち、杉浦非水デザインのたばこのパッケージは徐々に色数を落としていきました。

【3】終戦、そして焼け跡からの復興

1950年のポスターには時代へのメッセージも
1950年の森永ミルクキャラメルのポスター。「ほんとうのキャラメル」と謳うところに戦後を感じる。

1945年に終戦を迎えた後の東京はヤミ市が立ち並ぶ焼け跡のまち。そんな時代を超えて、立ち直りの季節を迎えた1950年には、「ヤミタバコを消して文化の火をともせ」と謳うポスターや、「ほんとうのキャラメル」とわざわざ念を押すキャラメルの宣伝なども登場。「もはや戦後ではない」が流行語になるのは6年後のことです。

身の回りにある商品や広告こそが、時代を映す鏡なのかもしれないと気付かさせてくれる貴重な展示。

劇場用アニメーション「この世界の片隅に」などの映画上映や、講演「歴史を伝えるパッケージ 森永ミルクチョコレート100周年」などのイベントも随時開催されているので、休日の下町さんぽのおでかけ先にいかが?

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