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孤立と油断が危機を招く。日常の“隙”を埋める防犯策

新型の犯罪が急増している昨今。特徴を知って、身の回りで準備すべき対策をアップデートしよう。知っておきたい6つの防犯策を市民防犯インストラクター・武田信彦さんに教わりました。

イラストレーション・花岡 幸 文・オカモトノブコ

住まいの安全は「施錠」の徹底から

孤立と油断が危機を招く。日常の“隙”を埋める防犯策

全国で相次ぐ、匿名・流動型犯罪グループの侵入強盗。金品の所在を聞き出すためにあえて居住者がいる時に押し入るなど、その凶悪さが際立っている。実は侵入窃盗被害は無施錠によるものが多く、

「在宅中や、ゴミ出しなど短時間の外出でも必ず施錠を。予備の鍵を玄関周辺に隠すなどの習慣も、悪意ある侵入者であれば簡単にお見通しです」と、市民防犯インストラクターの武田信彦さん。

いっぽうで玄関錠の防犯レベルは向上した近年、増えているのが窓からの侵入。

「ガラスを割ったり、解錠して侵入する手口が多く、なかでも見落としやすいのが高層階の窓や、1階の小窓です。細身の人間なら30cmの幅があれば侵入できるため、格子柵や防犯フィルム、複数の鍵や補助錠などで対策しましょう」

警察への相談・通報をためらわない

犯罪に巻き込まれそうになったら、躊躇せず警察へ連絡・通報しよう。

「敷地内で異様な音がした、家の周囲で不審な動きをする人物を目撃したなどの異変を察知した場合は、安全を確保したうえで即、警察に通報することが重要。通報への心理的なハードルがある人も多いのですが、“事件にならないと相談できない”というのは大きな誤解です。近年、警察はこうした前兆事案に対する初動対応を強化し、『警察相談ダイヤル #9110』も設置しています。事前に所轄警察署の電話番号をスマホへ登録するのもいいでしょう。また、構造や間取りが似た近隣の住居に侵入する“近接反復被害”にも要注意。同じ町で犯罪のニュースを聞いたら、より警戒が必要です」

緊急時の防犯力を高め、避難部屋(シェルター)を準備

「増加している犯罪への対策には、個人の防犯力も不可欠。政府による後押しもあり、防犯カメラやモニター付きインターホンの購入・設置に対する補助金が出る場合もあります。自治体で条件は異なるため、まずは確認してみましょう」

パニックルームやシェルターと呼ばれる、緊急時に身の安全を守るための避難部屋も、ぜひ家の中に設けておきたい。

「この部屋の目的は、警察が到着するまで10~15分程度の時間を稼いで身を守ること。トイレの内開きドアや浴室の折り戸を内側から体で押さえたり、部屋の引き戸につっかえ棒をするなどでも、侵入を防ぐことができます。スマホは家の中でも常に携帯し、避難部屋でも電波が届くか、事前にチェックしておくこと」

「孤立する瞬間」が犯罪被害につながる

「急増中の強盗や刃物を用いた凶悪事件が発生するタイミングのほとんどが“ひとりになる瞬間”。最近は尾行された後に自宅周辺で被害に遭うケースも増え、常に周辺に気を配り危険を察知する対策が不可欠。その意味でも、スマホのながら歩きやイヤホンは避けるのがベターです」

特に集合住宅の駐輪場や外階段は「死角」が生まれやすい環境。オートロックの自動ドアでは背後から侵入される「共連れ」や、密室になるエレベーター内も防犯上のリスクが生じやすい場所だ。違和感があれば先に譲る、いったん離れるなどで身を守ろう。

「玄関ドアを開ける前も、まずは周囲の確認を。荷物の配達などは、非対面や時間帯指定を利用するのもおすすめです」

いつでも持ち歩ける護身道具を使いこなす

「防犯ブザーは、市民が安全に持ち歩ける貴重な防犯グッズのひとつ。音量や耐久性が確認された『全国防犯協会連合会』の推奨マークがあるものを、ベッド周りやバッグ、車のダッシュボードなどに備えておきましょう。ひとりで不安を感じた瞬間は手に持ってスタンバイ。人けのない場所に入る時は警戒心を伝える“ちょい鳴らし”をしたり、侵入強盗の発生時は窓の外へ投げて緊急事態を知らせるなどの使い方もできます」

また警察の盾と同素材のポリカーボネート板は、厚さ5ミリ程度なら刃物への強力な防具に。強い光のフラッシュライトは相手を牽制し、夜道の安全確保にも役立つアイテムだ。いずれも外出時に持ち歩けるサイズなので、ぜひ活用したい。

オンライン詐欺の「信頼スイッチ」に注意

東京における令和7年の特殊詐欺は60歳未満の被害が5割前後。被害に遭うのは何も超高齢者だけではない。

「最近では巧妙に作られた偽の投資アプリやサイトなど、手口はますます巧妙化。ロマンス詐欺では“困っている人を助けたい”という心情も悪用されます。これらは出会いや関係構築、金銭要求まで一貫してオンラインで行われるので、被害に気付くまで時間がかかる傾向が。長期間かけて関係性を築くため、心も完全にコントロールされます。相手を完全に信じ込む『信頼スイッチ』が入ってしまったら、もう手遅れ。周囲の反対意見を遮断し、なかには怒り出す人も」

世の中には想像以上に詐欺が多いという認識と客観性を持って向き合う意識を。

  • 武田信彦 さん (たけだ・のぶひこ)

    市民防犯インストラクター

    警察庁や文部科学省の研修、全国の自治体や学校などでの講師を数多くつとめる市民防犯のパイオニア。官公庁などへ防犯施策への助言や提言も行う。メディア出演も多数。

『クロワッサン』1172号より

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