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もしもの時の在宅避難、冷蔵庫や備蓄品をどう回す?──いつもの生活から食いつなぐ技

手持ちの食材を循環させて、日常を維持する。避難生活中の無理のない食べ繋ぎのコツを、防災士の資格を持つイラストレーター・アベナオミさんに教わりました。

イラストレーション・小林マキ

被災生活で心身健やかに過ごすためには、普段の生活にあるものを活用するという臨機応変の備えが欠かせない。

「災害時の食事は、いわゆる非常食に頼りすぎるのではなく“日常の延長”として捉えることが大切です」と、自身も在宅避難の経験を持つアベナオミさん。非常食の用意がなくても、私たちの家にはそれなりに食べ物がある。課題は、それをどう回していくか。

冷蔵庫内→冷凍庫内→備蓄品の順で消費

もしもの時の在宅避難、冷蔵庫や備蓄品をどう回す?──いつもの生活から食いつなぐ技

在宅避難時の食材消費は、冷蔵庫、冷凍庫、備蓄品の順で行うのが鉄則。

「災害が起きたら、冷蔵庫内の傷みやすい生鮮食品から優先的に消費しましょう。次に冷凍庫の食品を冷蔵庫へ移し、解凍されたものから順に食べます。パンなどの常温保存のものも含めて、いずれも賞味期限の短いものから。最後に、乾物や缶詰といった備蓄品へと移行してください。この順番で計画的に消費することで、食材を無駄にせず、衛生的かつ栄養バランスの整った食事を長く維持することができます。まず冷蔵庫の中を空にするという意識を持つことが、在宅避難をスムーズに乗り切るための第一歩です」(アベさん)

冷蔵庫の中は、生の肉、魚、葉物野菜から消費する

もしもの時の在宅避難、冷蔵庫や備蓄品をどう回す?──いつもの生活から食いつなぐ技

災害時はいつ停電が発生してもおかしくない。だからまず、冷蔵庫の中にある生の肉や魚、葉物野菜など、最も傷みやすい生鮮食品から手をつけること。

「特に気温が高い時季や湿度の高い環境では、これらを放置すると食中毒のリスクが高まってしまいます。できるだけ早急に茹でる、焼くなどして火を通し、保存性を高めてから消費するのが賢明です。また、意外と忘れがちなのがドレッシングなどの調味料や乳製品。開封済みであれば優先的に使い切りましょう。初動の1〜2日でこれらを計画的に消費し尽くすことで、停電になっても庫内の衛生環境を保て、その後の食事管理も非常に楽になります。ふだん料理をする時と同じ感覚で、冷蔵庫の“今あるもの”を早めに食べ切る意識を持つことが、避難生活時の健康維持には欠かせない重要なステップとなります」

冷凍食品を冷蔵庫に移して保冷剤代わりにする

もしもの時の在宅避難、冷蔵庫や備蓄品をどう回す?──いつもの生活から食いつなぐ技

停電時は、冷凍庫に入っているものは、冷蔵庫の“保冷剤”として有効活用しよう。

「凍った食品や保冷剤、氷などを冷蔵庫へ移動させることで、冷蔵庫内の温度をクーラーボックスのように低く保ちつつ、食材を自然解凍させることができます。溶けたものから順番に消費すれば、無駄なく食べ切ることが可能です。またその際は、冷凍庫内のもの全てを一気に解凍せず、必要な分だけを計画的に冷蔵庫へ移動させることが、長期的な食材管理の秘訣です。特にカチコチに凍らせた肉は解凍に時間がかかるので、保冷剤代わりとして活躍します(ちなみに東日本大震災の時は3月で、まだ寒い宮城では3日間凍ったままでした)。もちろん溶けたらすぐに加熱して食べ切りましょう。このサイクルをうまく回すことで、在宅避難中の食事は格段に充実したものになります」

  • アベナオミ さん

    イラストレーター、防災士

    宮城県出身。東日本大震災で被災したことをきっかけに防災士の資格を取得。『今日、地震がおきたら』(KADOKAWA)など防災に関する著書多数。

『クロワッサン』1172号より

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