「光と風の四季」(大野雄二)──スリルと叙情、都会と故郷を行き来した稀有な才能
高橋芳朗の暮らしのプレイリスト。今回は、「ルパン三世のテーマ」で知られる作曲家・編曲家・ジャズピアニストの大野雄二さん。熱海の旅館に生まれた大野さんは、大学在学中からジャズピアニストとして頭角を現し、1970年代以降は映画・TVドラマ・アニメなどで活躍。『ルパン三世』では、多いときに一シリーズで200曲を書き上げたといいます。
文・高橋芳朗
「ルパン三世のテーマ」で知られる作曲家・編曲家・ジャズピアニストの大野雄二さんが亡くなりました。84歳でした。
訃報に接して多くの方がまず思い浮かべたのは、「ルパン」のあの疾走するジャズのイントロだったかもしれません。でも、大野さんの音楽はもっと静かな形でも、私たちの日常に溶け込んでいました。NHKの紀行番組『小さな旅』のテーマソング「光と風の四季」は、そうした一曲です。
熱海の旅館に生まれた大野さんは、大学在学中からジャズピアニストとして頭角を現し、1970年代以降は映画・TVドラマ・アニメなどで活躍。『ルパン三世』では、多いときに一シリーズで200曲を書き上げたといいます。楽器は使わず、朝起きたらすぐ五線紙に向かうのが流儀だったそうです。
和楽器に頼らず、フルオーケストラの響きで日本の原風景を映し出した「光と風の四季」は、「ルパン」のスリリングな都会性とは異なる表情を持っています。その旋律は日曜の朝にどこかの居間で流れるたび、時計代わりに、一週間のけじめとして、意識されないまま生活のリズムを刻んできました。
「あの曲も大野さんだったのか」
──そんな発見が、いまも耳を傾けるたびに積み重なっていきます。スリルと叙情、都会と故郷、あらゆる振り幅を軽やかに行き来した稀有な才能を、改めて聴き直してみてはいかがでしょうか。
『クロワッサン』1169号より
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