新婚さんに直撃! 富貴子さん(78歳)と宏さん(82歳)──大人婚、いかがですか?
撮影・黒川ひろみ イラストレーション・アコル 文・オカモトノブコ
人生後半、日々の一瞬こそが幸せ
結婚して2年。富貴子さんと宏さんは、人生の後半に「結婚」という新しい道を選んだ新婚カップルだ。
「若い頃の結婚よりも、この年齢だからこその幸せがある。お互い、いろいろな人生経験を通して人間同士として向き合い、優しくいたわり合うことができますから」と富貴子さんは笑う。
出会いは地域のシニアサークル。美容院を経営しながら女手ひとつで2人の子どもを育て上げた富貴子さん。彼女が新しく立ち上げた英会話グループを、大学教授をつとめた宏さんが段取りよく手伝ったことがきっかけだった。
「社交的で、笑顔が素敵な人だなと。今まで出会ったことのないタイプで、性格が正反対なところにも惹かれました」と、宏さんがプライベートで食事に誘ったことから交際がスタート。
やがて数年後には、同じマンションの別フロアで半同棲生活を始めた2人。
「お互い経済的には自立してましたし、いわゆるスープの冷めない距離で、マイペースにそれぞれの暮らしを楽しんでいました」と富貴子さんは振り返る。
転機が訪れたのは3年前。宏さんが急病で倒れ、意識不明の重体から6カ月もの入院生活を余儀なくされたのだ。「そのときに突き付けられた現実は、たとえパートナーでも病院の手続きなどを一切、受け付けてもらえないということ。当時は新型コロナの影響で面会もできず、毎日、神社にお参りするだけのつらい日々が続きました」
宏さんの退院後、富貴子さんは「この人を支えたい、幸せにしたい」との思いを新たに入籍を提案。持ち家をリフォームしての新生活が始まった。以来、富貴子さんの愛情がたっぷり詰まった栄養バランスのいい食事と懸命のリハビリで、立つのもやっとだった宏さんの体はみるみる回復していく。
「いまこうして元気になってみると、以前は自覚していなかった日々の小さな一瞬一瞬の幸せを、心から大切に思えるようになりました。人生の後半に、お互いを理解し合える人と楽しく、心穏やかに暮らせる日々を過ごせるのは本当にラッキーだと思います」
こう話す宏さんに、「彼のことが人として好き。結婚してよかったと思いますし、大切な人が元気になっているだけで幸せを感じます」と富貴子さん。
いまでは富貴子さんの子どもや孫も一緒に、お正月を祝ったりすることも。「子どもたちは“顔つきが穏やかになった”ですって。それぞれの趣味やプライベートも大切にしつつ、朝起きてすぐ“おはよう”と言えたり、たまには一緒にワインを飲んだりできる人が隣にいるっていいですよね。助け合いながら残りの人生、時間を無駄にせず生きていきたいと思っています」
『クロワッサン』1166号より
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