暮らしに役立つ、知恵がある。

 

広告

我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【AI・年収の壁・2040年問題】

AIで生活は豊かになるの? 年収の壁ってどう変わった? 2040年問題とは? お金にまつわる疑問を、経済に詳しいカエル先生にわかりやすく解説してもらいます。

イラストレーション・NIHONBARE 文・一寸木芳枝

我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【AI・年収の壁・2040年問題】

右:まねきねこ
50代主婦。昨年、仕事を辞め、現在は親の介護をしながら、時々知人の店でアルバイト中。

左:カエル先生
元新聞記者。ファイナンシャルプランナーの資格あり。投資セミナーの講師も務める。


我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【AI・年収の壁・2040年問題】

「AIによって、私たちの生活は豊かになりますか?」

スマホの音声検索をはじめ、ロボット掃除機や車の自動運転技術など、日常生活に急激に溶け込みつつある、人工知能(AI)。ある試算によれば、AIの有効活用が進めば、2040年にはGDPが1,000兆円を超えるとも。

まねきねこ(以下、ねこ) 日本の未来に何かプラスの要素があるとしたら、AIでしょうか。

カエル先生(以下、カエル) 労働人口が減る中、AIによって効率化が進むのは、プラスの面が大きいと思います。

ねこ 農業なども人手不足ですよね。

カエル 昨年以降、お米の価格が高止まりし“令和の米騒動”とニュースになったのは、ご存じですね。そもそも、米作りは環境変化によって出来高は変わるし、水の管理や収穫の時期の見極めなど、農家さんの経験や勘に頼る部分が大きい。

ねこ そして、何より重労働。

カエル はい。でもカメラで撮った映像をAIが解析し、生育診断や収穫時期の予測、水管理の自動化なども可能になれば、効率的な出荷計画が組めるし、生産量も安定する。そうなれば価格も落ち着き、みんなにとってプラスになります。

ねこ AIが救いになるかも! でも一方でAIに取って代わられる職種が出てくるともいわれていますよね……。

カエル 定型化された事務作業やマニュアル化された接客業などは、なくなる職種としては挙げられています。

ねこ パートやアルバイトで働く人にとっても死活問題です。

カエル 理想はAIによって効率化が進んで溢れた人員を人手不足が深刻な教育や介護、医療現場などに回すことです。人間特有の感情や判断が必要とされる職種は、AIとの共生はあっても完全に代替されるのは、まだ先でしょうから。

ねこ 究極的には、人類が働く必要のない世界が到来することもあり得ますか!?

カエル ただそれは同時に、これまでに私たちが作り上げた社会の仕組みや価値観、世界観が丸ごと変わってしまう未来でもあります。AIとの共生は、これからの大きな課題のひとつでしょうね。

我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【AI・年収の壁・2040年問題】

「AIのない未来はもう考えられません。ただし、活用の仕方やルール作りはこれから。全人類共通の課題です」


我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【AI・年収の壁・2040年問題】

「年収の壁って、結局どう変わった? 私に関係あります? 」

税金や社会保険料の負担が増加してしまう年収のボーダーラインを指す「年収の壁」。所得税については、その壁が103万円に設定されたのは1995年。以来、約30年間変わらずにきたが、2025年の税制改正によって、160万円に引き上げられ、今年はさらにそれが178万円へと引き上げられる。

【“年収の壁”とは?】税金については緩和されるが、社会保険の壁は手取りに大きな影響を与えるため、自分にとってのベストな働き方は一度シミュレーションを。ただ、社会保険に加入した上で手取りを増やすなら、年収150万円以上を目指すのが一般的
【“年収の壁”とは?】税金については緩和されるが、社会保険の壁は手取りに大きな影響を与えるため、自分にとってのベストな働き方は一度シミュレーションを。ただ、社会保険に加入した上で手取りを増やすなら、年収150万円以上を目指すのが一般的

カエル 働く時間を調整する“働き控え”をする人の存在がたびたび話題になってきましたが、労働力不足や物価高の影響もあり、見直しが決定。今後は物価上昇に連動して2年ごとに見直される仕組みが導入される予定です。

ねこ これでようやく、「もっと働きたいのに働けない」が解消されるんですね。緩和されるのはいつから?

カエル 今年の12月の年末調整からになります。ただ注意すべき点があって、178万円はあくまで税金、“所得税”の基準。社会保険には106万円と130万円という別の壁があり、この“社会保険の壁”は変わりません。

ねこ となると、配偶者の社会保険の扶養に入ったまま働くなら、年収130万円未満が目安になる、と。

カエル はい。ただ、これまでパートやアルバイトが勤務先の社会保険に加入する条件の一つに「年収約106万円(月収8.8万円)以上」がありましたが、今年の10月以降、この賃金要件が撤廃される予定です。

我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【AI・年収の壁・2040年問題】

「今後、労働人口が減る一方の日本では“働く人が報われるシステム”を作ることはますます必要になるでしょう」


我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【AI・年収の壁・2040年問題】

「『2040年問題』という言葉を耳にしたのですが、未来は暗い? 明るい? 」

約800万人の「団塊の世代」が全員75歳以上の後期高齢者となり、超高齢化社会の到来が社会に大きな影響を及ぼすといわれた「2025年問題」。さらに2040年には、団塊ジュニア世代が65歳以上となり、高齢者人口が約35%に達するといわれている。

ねこ 超高齢化社会の到来は以前からいわれていますが、今のところまだその影響を大きく感じる場面は、ないように思います。

カエル 私は先日、講演のため公立小学校を訪れたのですが、教頭先生をはじめ校長先生までも教壇に立つ姿を見て、教育現場の人手不足を肌で感じました。

【75歳以上人口(右目盛)と現役人口(20歳~64歳/左目盛)の予測】日本の総人口は、2008年(約1億2800万人)をピークに減少。2056年には1億人を割り込み、9900万人台になると予測されている
【75歳以上人口(右目盛)と現役人口(20歳~64歳/左目盛)の予測】日本の総人口は、2008年(約1億2800万人)をピークに減少。2056年には1億人を割り込み、9900万人台になると予測されている

ねこ そうか。超高齢化社会とはつまり、労働人口が減ること、ですもんね。

カエル そうなんです。実のところ、今日本で起きている経済問題の根本的な原因の多くは、人口問題に起因しています。

ねこ そういえば、近所に昔からあった定食屋さんも人手不足を理由に閉店しました。コンビニで働く人の多くも今や外国人というのが日常の光景ですね。

カエル 2040年には2025年比でさらに現役世代(15〜64歳)が約1,100万人減少するとされています。つまり、深刻な労働力不足は、私たちのこれまでの“あたりまえ”が維持困難となることを明確に示しているのです。

ねこ 水道管破裂や道路の陥没など、老朽化したインフラによる事故も全国で相次いでいますけど、それも原因を辿れば人手不足に行き着く、と。

カエル はい。バス業界は運転手不足に直面し、すでに全国的に減便や路線廃止になるところも。公共交通の維持すら、もう限界を迎えています。

ねこ でも私たちの平均寿命は延び、医療や介護費も今以上に膨れ上がる……。

カエル そうです。では、医療、介護、運輸、建設、教育などの分野における労働人口の減少が加速すれば、起こることはなんだと思いますか?

ねこ “暮らしの質”が下がる、ということでしょうか。

カエル もっといえば、下がるだけでなく、“お金があってもサービスを受けられない”状態がくる、ということです。

ねこ むむむ……。

カエル 数年前に「老後2,000万円問題」が話題になりましたけど、貯めたからといって、人手不足によって受けられるサービスに上限があったなら?

ねこ 当然、より多くお金を持つ人がそれを受けられる……。

カエル そうなりますね。

ねこ 先ほどのAIは? AIの活用でなんとかならないですか。

カエル 解決できる部分もあるけれど、間に合わないところはあります。

ねこ では、私たちにできることはあるのでしょうか?

カエル 例えば宅配便も時間指定で届けてもらうのではなく、週2回でOKとする。マンションの規約を撤廃して、全戸で置き配可能にする。急いでいる場合は自分で取りにいく。そういったことも、必要になってくると思います。

ねこ お金を支払った対価として、“報われること”ばかりを期待していては立ち行かないということですね。社会全体で協力し合わないと。

カエル はい。でも、いちばんいいのは、長く働くことだと思います。5年後よりも10年後、10年後よりも20年後のほうが、人手が足りなくなる。となれば、今働くよりも10年後働くほうが価値がある。それもお金よりも労働のほうが希少性が高くなるわけですから、働ける状況を作っておくことが武器になります。

ねこ 将来に備えてお金だけを増やしても、今以上にインフレが起きている可能性もありますしね。

カエル そもそもお金の問題について考えるときに、お金をどう増やすかしか考えていない人が多いと思います。でも、人生の目的はお金を増やすことですか? お金のことばかり考えて、今という時間を犠牲にしているとしたら、それは不幸せ。財布の中の増減ばかりに気を取られるのではなく、本当の自分の幸せは何かを一度考えてみてはいかがでしょうか。

我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【AI・年収の壁・2040年問題】

「私たちのこれまでの“あたりまえ”を維持し、明るい未来を生きるには、社会全体で協力し合う必要が必ず出てくるはずです」


我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【AI・年収の壁・2040年問題】

監修・田内 学(たうち・まなぶ)さん 「お金の向こう研究所」代表。著書に『お金の不安という幻想 一生働く時代で希望をつかむ8つの視点』。現在は社会的金融教育家として活動中。

『クロワッサン』1165号より

広告

  1. HOME
  2. くらし
  3. 我が家の家計を直撃する日本経済の“今”を知ろう!【AI・年収の壁・2040年問題】

人気ランキング

  • 最 新
  • 週 間
  • 月 間

注目の記事

編集部のイチオシ!

オススメの連載