半世紀前、移民の歌が問う理想と現実──「The Immigrant」(ニール・セダカ)
高橋芳朗の暮らしのプレイリスト。アメリカのポップス黄金時代を代表する歌手/作曲家、ニール・セダカが亡くなりました。60年以上に及ぶキャリアで数多くの名曲を残したセダカですが、そのなかからいま改めて注目したいのが1975年発表の「The Immigrant」。この曲には、当時永住権問題に揺れていたジョン・レノンへの連帯の思いも込められていました。
文・高橋芳朗
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「恋の片道切符」「カレンダー・ガール」などのヒット曲で知られるアメリカのポップス黄金時代を代表する歌手/作曲家、ニール・セダカが亡くなりました。86歳でした。
60年以上に及ぶキャリアで数多くの名曲を残したセダカですが、そのなかからいま改めて注目したいのが1975年発表の「The Immigrant」。彼の楽曲の中でもとりわけ社会的メッセージを帯びた一曲です。
ブルックリンに生まれたセダカは、ロシア系およびポーランド系ユダヤ人移民の家系に育ちました。父はタクシー運転手として働き、母は息子の才能を信じて音楽教育を支えていました。東欧から海を渡った家族の記憶と、アメリカで成功を夢見る向上心は、彼の創作の底流にあります。
この曲には、当時永住権問題に揺れていたジョン・レノンへの連帯の思いも込められていました。歌詞は「港は若き外国人を抱き寄せる」と理想を掲げながら、「門は閉ざされている」と現実の拒絶を描きます。そこには、移民の子として成功した自負と排外的な風潮への静かな抗議がにじんでいます。
半世紀後の今日、国境管理や移民受け入れを巡る議論は再び激しく対立しています。壁を築くのか、それとも共に生きる道を選ぶのか。この歌は、移民を統計や抽象論ではなく、希望を携えた一人の人間として見つめよと促します。自由の女神が象徴する理念を守れるのか──そう私たちに問いかけているのです。
『クロワッサン』1164号より
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