「星野源流ソウルミュージック」の到達点を示す傑作——6年半ぶりのアルバム『Gen』
高橋芳朗の暮らしのプレイリスト。今回は、星野源さんが発表した通算6作目のアルバム『Gen』。「創造」や最新曲「Eureka」などの楽曲に加え、「Star」など9つの新曲が収録されています。
文・高橋芳朗
星野源さんが通算6作目のアルバム『Gen』を発表しました。2018年の『POP VIRUS』以来、実に6年半ぶりの新作です。
ジャンルや国境を越えた8名もの海外アーティストをゲストに迎え、自分の求める音楽像をひたすら自由に突き詰めていったような全16曲。自らの名前を冠したタイトルの『Gen』、そして本人のモノトーンのポートレートを用いたジャケットを踏まえると、これは聴き手に対して自身のイメージの更新を迫る「星野源を再定義するアルバム」といえるかもしれません。
そんなアルバムを代表する楽曲としては、タイトルの『Gen』(源)と呼応するネーミングとも受け取れる「Star」(星)を挙げておきます。制作環境を一新して作り上げた2021年リリースのシングル「創造」「不思議」以降、先鋭性と普遍性の両立を高度なレベルで達成してきた星野さんですが、ここではその集大成となるサウンドを披露。先を予測させない複雑な構造を持ちながらもポップの楽しさが曲の隅々で躍動する、星野流ソウルミュージックの到達点を示す掛け値なしの傑作です。
生命のきらめきを四季のうつろいと共に描いた深遠な歌詞も、この曲の大きな魅力のひとつ。繰り返されるフレーズ「君をずっと待ってた」が最後の最後で「君をずっと持ってた」へと変わる瞬間に、「星野源を再定義するアルバム」=『Gen』の核心があると考えています。
『クロワッサン』1144号より
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